設置された献花台に向かって手を合わせる男性=越前市上太田町で |
坂井市三国町新保の九頭竜川河川敷で見つかった男児の遺体が二十日、越前市下四目町の田中蓮ちゃんと判明した。自分から話すのは苦手だが、周囲を思いやる優しい性格だった。行方不明になった同市上太田町の会社駐車場近くにはこの日、献花台が設けられ、安否を気遣っていた近隣住民らが冥福を祈った。
祖父の康雄さん(54)によると、家族など親しい相手には、にっこりしながらキスをするのが蓮ちゃんのあいさつ代わりで愛情表現だった。三カ月ほど前に生まれた妹の頬にも何度もキスをして、かわいがっていたという。通っていた市内の認定こども園でも、仲の良い子には耳を触るなどスキンシップをしていた。
遊具広場で遊んでいた時には、他の友達が貸してほしそうな表情をしていると、進んでおもちゃを譲った。かんしゃくを起こして友達とけんかをする姿も見たことがない。康雄さんにとっては、自分の我を通さないところが心配なほどだった。
蓮ちゃんが不明になった昨年十二月九日以降、警察や消防だけでなく、蓮ちゃんが通う市内の認定こども園の保護者や康雄さんの会社の従業員らも捜索に当たった。店舗や屋外に情報提供を呼び掛けるチラシを設置する活動も広がった。
康雄さんは二十日朝、越前署で蓮ちゃんの遺体と対面した後、本紙に「名前や顔を知らない人も多く、たくさんの人に協力してもらえたことに感謝したい。できることなら生きている蓮を連れて、お礼に回りたかった」と話した。
献花台は、蓮ちゃんが転落したとみられる吉野瀬川に面した場所に置かれ、昼すぎから住民らが訪れて花束やジュースなどを供え、手を合わせた。康雄さんの会社の社員によると、この日の午前中に地元の住民が設置した。近くの事業所に勤める同市南三のパート従業員、谷口正至さん(45)は「情報提供を呼び掛ける貼り紙を見て気にしていた。蓮ちゃんには、どんな将来が待っていたのだろうか。残念だ」と話し、献花台に向かって頭を下げながら合掌した。
(山内道朗、小川祥)
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