陸上自衛隊員やスキー客ら12人の死傷者が出た草津白根山の本白根山の噴火から一夜明けた24日、県内では、負傷者が搬送された病院で治療を受けるなど緊迫した状況が続いた。黒煙や噴石などで「銀世界」は灰色に染まり、救急隊員や負傷者は恐怖のどん底に突き落とされていた。再び噴火が起きる可能性も消えず、予断は許さない。 (住谷早紀、橋爪一彦)
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噴火が起きた23日に現場へ救護班を派遣して、負傷者の救護に当たった前橋赤十字病院(前橋市)では24日、主治医らが会見。重体となっていた20歳代の男性の容体などについて説明した。
男性は草津町の草津国際スキー場で噴石などに当たった可能性があるといい、手足などの骨折、肺挫傷、出血性ショックなどで一時は心臓が停止しそうな危険な状態だったが、蘇生(そせい)処置を実施。緊急手術を行い、集中治療室(ICU)で治療した結果、同日朝には妻と筆談で「助かったよ」「がんばったね」などと会話できるレベルにまで回復したという。
救護班は23日の噴火の約2時間後に現場近くの西吾妻福祉病院(長野原町)に到着し、負傷者の初期治療を実施。その後、集中治療ができる病院へ分けて搬送した。現場で指揮を執った医師は「迅速に診療態勢に入れたと思う」と述べた。
一方、救助活動に当たった吾妻広域消防本部の隊員らが23日深夜に開いた会見では、スキー場の過酷な状況が明らかにされた。
コースは噴石で穴が空き、灰色になっていたといい、スキーで滑れる状況ではなく、隊員らは雪上車で整備しながら山頂に向かった。
噴石が当たった自衛隊員は「大きな外傷は見られかったが、噴石の直撃を受けた様子で、体に灰がかかっていた」という。隊員の一人は「一番怖かったのは二次被害で、再び噴火が起きることだった」と振り返った。
噴火を知らせるアナウンスをスキー場麓付近で聞いたという東京都練馬区の高校2年、山本秀幸さん(17)は「そのときは怖くなかったが、噴火地点あたりまで登る予定だったので、後になって身震いした」と話した。
http://www.sankei.com/region/news/180125/rgn1801250015-n1.html
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