学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、愛媛県の中村時広知事は10日、当初「ない」としてきた記録文書が、担当職員の備忘録として存在していたことを認めた。県職員らが2015年4月当時の柳瀬唯夫首相秘書官と官邸で面会した際の記録だが、柳瀬氏は事実関係を否定。学部新設に絡む度重なる疑惑に、関係省庁や地元からは真相解明を求める声が上がった。
「職員が口頭報告のための備忘録として書いた」。10日午後5時から記者会見した中村知事はこう明かした。保管義務がなく文書そのものは確認できていないとしたが、「県職員はまじめで信頼している。出席した会議の報告のために作った」と語った。
一方、問題の文書に現在は経済産業審議官の柳瀬氏が「本件は、首相案件」と述べたとの記載があるとされる点や実際に面会したかどうかについては、明言を避けた。
国会で面会を否定し続けてきた柳瀬氏は、10日にも「自分の記憶の限りではお会いしたことはない」とのコメントを発表。経産省の30代の女性職員は「審議官のコメントより、『備忘録』の方を信じろという方が難しい」と強調。男性職員(49)は「しかるべき機関が真実を見つけ出す調査を徹底してほしい」と要望した。
加計学園を巡っては17年にも「総理のご意向」などと記された文部科学省作成の文書が流出。同省は調査の結果、存在を認めた。同省の若手職員は「学園は4月にやっと獣医学部が開学したのに、また問題になるとは」とうんざりした様子だった。
学園の獣医学部新設に関する文書の開示を求めてきた愛媛県今治市の市民団体の村上治共同代表(71)は「県は面会に関する文書は破棄したと説明してきた。内容を見て意図的に廃棄したのだろう。財務省が決裁文書を改ざんしたのと同じ構図だ」と憤る。
その上で「今回明らかになった文書からは安倍晋三首相が親友の加計学園の理事長のため行政の末端まで私物化していたことがうかがえる。国や県、今治市は職員のパソコンに入っている文書を残らず調べ尽くして経緯を明らかにすべきだ」と訴えた。
内閣府幹部ら「事実関係を確認中」
学校法人加計学園の獣医学部新設について、当時の柳瀬唯夫首相秘書官が「首相案件」と述べたとされる文書を巡り、野党は10日、国会内で内閣府などの幹部から合同でヒアリングした。20人以上の野党議員が集まったが、幹部らは「事実関係を確認中」という回答に終始し、事実解明は進まなかった。
「首相案件の資料を国が出さずに県の情報で真相が明らかになるとは、どこまで国が隠しているのか」。希望の党の山井和則氏が詰め寄ったが、内閣府の塩見英之参事官は「きちんと確認させていただきたい」と小声で繰り返すばかり。立憲民主党の逢坂誠二氏が「否定しないということは認めざるをえないということか」との質問にも明確には答えなかった。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2921983010042018CR8000/
0 件のコメント:
コメントを投稿