東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県石巻市立大川小の児童23人の遺族が、市と県に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、仙台高裁であった。小川浩裁判長は震災前に津波の危険性を予見できたとし、学校は危機管理マニュアルの改訂を怠り市側も是正しなかったと判断。組織として事前防災が不十分だった過失を認め、市と県に賠償を命じた1審仙台地裁判決の賠償額を約1千万円上積みし、約14億3600万円の支払いを命じた。
一連の津波訴訟で地震前の企業や学校の組織的過失が認められたのは初めて。
判決理由で小川裁判長は「大川小が(ハザードマップの)津波浸水予想区域に含まれていないとしても、北上川の近くにあることから津波の危険性はあり、予見は十分に可能だった」と言及。学校が市教委に危機管理マニュアルの改訂を届け出る期限で、震災の1年近く前に当たる平成22年4月30日時点で「津波襲来の予見可能性があり、学校は津波から児童の安全を確保する義務が生じた」と指摘した。
さらに「学校は立地条件に照らして津波に対応したマニュアルに見直すべきだったのに避難場所を定めず、避難経路と方法も記載しなかった」などと過失を認定。「マニュアルの不備を是正、指導すべき義務を怠った」と市側の責任を認めた。その上で「避難先として標高20メートル超の高台を指定していれば、津波を回避できた」と指摘。組織としての事前の備えが不十分だったことが惨事を招いたと結論づけた。
https://www.sankei.com/affairs/news/180426/afr1804260037-n1.html
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