神奈川県座間市のアパートで男女9人の遺体が見つかった事件は30日で発覚から半年。殺人などの容疑で警視庁に逮捕された白石隆浩容疑者(27)は容疑を一貫して認め、取り調べに礼儀正しく応じる姿を、ある捜査関係者は「好青年に見えるほど」と説明する。一方、同容疑者が「金目当て」と話す事件の動機には不可解な点が残されたままだ。
捜査関係者によると、白石容疑者はどんな質問にも、素直にはきはきと答えていたという。動機に関しては「金銭を得るため」と話しているが、被害者のほとんどは数百~数万円程度の所持金しかなかった。金を持ってくるよう強く促した形跡などもなく、わずかな額のために多くの人をあやめたとする同容疑者に、捜査関係者は「常人の感覚では理解できない」と首をかしげる。
「自分が供述することで、被害者の遺族に迷惑が掛かる」と、調書への署名を一時拒否したこともあった。遺族にマスコミが殺到するのを恐れたためとみられるが、その半面、被害者の名前を覚えていなかった。殺害自体への反省や後悔の言葉はいまだに出ていない。
逮捕前にも矛盾した行動があった。アパート入居前になたやのこぎりを買いそろえ、1人目の殺害後は遺体を保存するため中型冷蔵庫まで購入した。高い計画性がうかがえる一方で、被害者のバッグや携帯電話といった所持品を室内に放置。特に被害者の靴が多く残っていた。捜査員に理由を問われると、「ごみの回収日が分からなかった」と答えた。
顔を撮影されるのを異常に恐れ、送検の際に使われた車の後部座席にカーテンを張るよう求めた。「(新聞やテレビに)顔が出たら何も話さない」と、かたくなな一面も見せていた。
垣間見えるちぐはぐさ。東京地検立川支部は今月初旬から、白石容疑者の刑事責任能力を調べる鑑定留置を実施。同容疑者は警視庁本部に勾留され、週1回程度、精神鑑定を受けている。結果は今秋以降に出るとみられ、その後起訴するかどうか判断される。(2018/04/29-15:14)
0 件のコメント:
コメントを投稿