2017年9月26日火曜日

首相の解散表明 「北朝鮮危機」最大争点に

 ■憲法9条改正を正面から語れ

 安倍晋三首相が記者会見で、28日召集の臨時国会冒頭で衆院を解散すると表明し、「国難突破解散だ」と述べた。

 少子高齢化と北朝鮮情勢を国難と規定し「国民とともに国難を乗り越えるため国民の声を聴きたい」と語ったのは理解できる。

 再来年10月予定の消費税増税分の使途を変更し、約2兆円を教育無償化などに充てる。北朝鮮の脅威から「国民の命と平和な暮らしを守り抜く」とし、核兵器と弾道ミサイルの放棄を約束するまで、圧力をかけ続けると訴えた。

 ≪国民守る方策を論じよ≫

 衆院選の最大の特徴は、北朝鮮情勢が緊迫の度を増す中で行われる点である。

 独裁者が支配する北朝鮮は、核実験や弾道ミサイル発射を繰り返し、「日本列島ごとき、あっという間に焦土化できる」などと恫喝(どうかつ)し続けている。戦後、日本がこれほどあからさまな敵意にさらされたことがあっただろうか。国民に尽くすべき政治が脅威に鈍感であってはならない。

 北朝鮮は対話を隠れみのにして核・ミサイル開発を続けてきた。「対話のための対話」では脅威を除けなかったという首相の指摘は妥当である。平和実現のための圧力を継続することへ国民の支持は欠かせない。

 外交努力と並行して、どのようにして国民を守り抜くかも重要な課題だ。首相や各党は選挙戦において、その決意と方策を率直かつ明快に語らなければならない。

 集団的自衛権の限定行使を容認する安全保障関連法への姿勢も注目点だ。政府与党は安保関連法を活用して、自衛隊による米補給艦の防護や米イージス艦への洋上給油を実施した。日米同盟の抑止力を高めている。

 民進党や共産党は、憲法違反だとして安保関連法の廃止を唱えている。それでは国民を守り抜くことができない。国民保護や敵基地攻撃能力の導入、ミサイル防衛(MD)の充実も論じるべき喫緊の課題である。

 衆院選は憲法改正を進める絶好の機会でもある。首相が会見で、憲法改正について言及しなかったことは極めて残念だ。

 自衛隊は敵基地攻撃能力すら持っていない。日本が北朝鮮危機に十分に対応できると言い切れない根本的原因の一つが、現憲法にあることは疑いない。

 自衛隊・軍や国防の概念が憲法にないことが、戦後日本の安全保障政策をゆがめてきた。

 だからこそ、首相は今年5月に9条1、2項は残しつつ自衛隊の存在を明記する「加憲」案を提起したのではなかったのか。9条論議を避けてはならない。

 首相は、消費税の使途という税制上の大きな変更を決断した以上、「国民に信を問わなければならない」と述べた。増税分の使途は「社会保障と税の一体改革」で約束してきた基本だ。信を問う姿勢自体は妥当だろう。

 ただ、その決断に至るまでどれほど議論を尽くしたか。一体改革は、2度の増税延期で当初と異なる姿になった。さらに使途まで変えるのに政府与党で深く議論したように見えない。唐突な変更という印象を拭うには、そうした疑問に丁寧に答える必要がある。

 ≪2兆円投入の中身示せ≫

 首相は「人づくり革命」と「生産性革命」こそが「アベノミクス最大の勝負」という。そこに投じる2兆円の中身はどうなのか。年内にまとめる政策パッケージについて、より具体的に聞きたい。

 使途変更により財政健全化の財源は減る。それでも首相は「財政再建の旗は降ろさない」とし、基礎的財政収支の黒字化を堅持するための具体的な計画を策定すると語った。聞きたいのは首相自身が財政再建の道筋をどう描いているかだ。歳出拡大は約束するが、財政再建の検討は後回しというだけでは都合が良すぎる。

 北朝鮮情勢の急変に備えた選挙戦でなくてはならない。解散で衆院議員は不在となり、国会機能は参院が担う。憲法54条は「国に緊急の必要があるとき」の参院緊急集会を定めている。参院は、緊急集会や外交防衛委員会の閉会中審査の準備をしておくべきだ。

 国家安全保障会議(NSC)や自衛隊など、政府の危機対応部門の能力を低下させてはならない。政府および国会は、緊急時の対応がいつでもとれる態勢をとって選挙戦に臨んでほしい。

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http://www.sankei.com/politics/news/170926/plt1709260013-n1.html

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