衆議院が28日午後、解散した。総選挙は10月10日公示、同22日投開票となる見通し。安倍晋三首相が掲げる消費増税分の使途見直し、憲法改正、核・ミサイル開発を進める北朝鮮への対応などが争点となる。東京都の小池百合子知事が率いる希望の党に、民進党の前原誠司代表が事実上合流したい意向と報じられており、選挙の構図はなお流動的だ。
安倍首相は25日の記者会見で、2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに伴う増収分の使途を一部変更し、教育無償化などの財源に充てる方針を表明。「国民生活に関わる重い決断」であり「速やかに国民の信を問わねばならない」と語った。自民、公明両党で過半数の233議席確保を勝敗ラインと位置付けた。
衆院解散は14年11月以来、約2年10カ月ぶり。現在の衆院定数475議席のうち287を自民党の会派が占め、連立を組む公明党の35と合わせて322となり、憲法改正発議に必要な3分の2以上の勢力を確保している。来月予定される衆院選では1票の格差是正のため定数が10減り、465議席となる。
政治ジャーナリストの細川珠生氏は、離党者が相次いでいる民進党の状況に加え、来年の自民党総裁選での再選も視野に「今やることが安倍政権にベストだという判断だったのだろう」と指摘。希望の党の結成は急激な動きであり、実際にどの程度の議席を獲得するかは不透明なものの、小池氏が先頭に立つことで女性の支持が広がる可能性はあるとの見方を示した。
28日は正午ごろから衆院本会議が開かれ、大島理森議長が解散詔書を読み上げた。国会召集日の解散は1996年以来、21年ぶり。
激変する野党構図
解散前日の27日、希望の党は東京都内で新党結成の記者会見を行った。小池氏のほか細野豪志元環境相、若狭勝衆院議員ら現職の国会議員14人も出席。複数の民進党出身議員に加え、自民党に所属していた福田峰之衆院議員も内閣府副大臣を辞任して新党に参加した。
小池氏は「しがらみのない政治、大胆な改革を築いていく新しい政治、まさに日本をリセットする」と既存政党との違いを強調。全国各地で候補者を擁立する方針を明らかにしている。
野党第1党の民進党では、柚木道義衆院議員が前原代表に希望の党との連携を含めた「新たな受け皿」を結成して臨むよう求める申し入れ書を提出。「場合によっては発展的解党・新党」が必要だと踏み込んだ。
NHKは27日、前原氏が希望の党に事実上合流したいという意向を示していることが分かったと報道。共同通信も民進党が衆院選に公認候補を擁立しない方向で調整を始めたと報じた。ただ、小池氏は27日夜、BSフジの番組で、民進党所属議員が希望の党での公認を望んでも安全保障への対応などを考慮して選別する考えを示している。民進党は28日午後、両院議員総会を開き、衆院選への対応を協議する。
安倍首相は25日夜、TBSの番組で小池氏について「選挙において手ごわい相手なので、しっかりと身を引き締めたい」と警戒感を示した。
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