死者58人、行方不明者5人を出した御嶽山(長野、岐阜)の噴火災害は27日、3年を迎えた。麓の長野県王滝村では新たに慰霊碑を建立。除幕式には遺族ら約230人が参列した。噴火発生時刻の午前11時52分には黙とうをささげ、犠牲者への冥福を祈った。遺族らの無念さは今なお、癒えず、現場は悲しみに包まれた。
この日午前11時すぎ、慰霊碑の覆いを遺族代表らが除幕。慰霊碑に刻んだ「鎮魂」は、京都・清水寺の森清範貫主が揮毫(きごう)した。犠牲者の名前が刻まれた「芳名板碑」と、再発防止への教訓などがつづられた「銘文碑」も設置された。
除幕式では遺族ら参列者が碑と御嶽山に向かって一礼した。追悼式では遺族代表として、長野県東御市の荒井寿雄さん(75)があいさつ。「私たち遺族は生きている限り、心のよりどころとして慰霊碑に足を運び、犠牲者の冥福を祈りたい」と述べた。
荒井さんは噴火で次男の真友さん(当時41)を失った。生前の真友さんからプレゼントされた腕時計を身につけ、参列。「また1年がたってしまった。時がたつのは本当に早い」と振り返った。
荒井さんの元には昨年暮れ、真友さんが30年前にタイムカプセル事業で出した「僕は元気ですか」と書かれた手紙が届いたという。「私たち夫婦のどちらかが先にこの世を去るとき、この手紙を天国の息子に必ず届けようと思う」と誓った。
仏壇に線香をあげ、毎月の墓参りを欠かさない日々。各地の火山で防災対策が進むなか、荒井さんは「教訓を後世に語り継いでいかなければならない」と思いを新たにした。
式典前には朝から、多くの遺族が会場近くの献花台を訪れ、花を置いて手を合わせた。
御嶽山は2014年9月27日に噴火。1991年に43人の死者・行方不明者を出した雲仙・普賢岳(長崎県)の噴火を上回る戦後最悪の火山災害となった。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDG26HAV_27092017CR0000/
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