東京都八王子市の女性(23)が行方不明になり、神奈川県座間市のアパートから複数の遺体の一部が見つかった事件で、警視庁は10月31日、切断された計9人の遺体が見つかったと発表した。警視庁はこの部屋に住む職業不詳の白石隆浩容疑者(27)を、うち1人に対する死体遺棄容疑で逮捕した。白石容疑者は容疑を認め「8月22日に引っ越してきてから9人を殺した」と供述している。

 9人の遺体は女性8人、男性1人とみられる。室内にはクーラーボックスが3つ、工具の収納箱が5つあり、うち7つに9人の頭部のほか腕や脚とみられる骨約240本が見つかった。頭部は損傷が少なかったのに対し、首から下の胴体や腕、脚は肉がそぎ落とされ、白骨が見えるような状態になっているなど激しく損傷。室内からは切断に使ったとみられる、のこぎりが発見された。捜査本部は猟奇的な殺人事件とみて、動機や経緯の全容解明を進める。

 警視庁によると、白石容疑者は死体遺棄容疑を認め、「8月22日に引っ越してきてから9人を殺した。数人からは金を取った。多くて50万円取った」と供述。約1週間に1人のペースで殺害を続けたとみられる。また「自宅で首を絞めて気絶させてから殺した。浴室で遺体を切断し、一部はごみとして捨てたが、ばれると思って(部屋に残された遺体は)捨てられなかった」。一部の女性については「乱暴目的で襲った」とも話している。遺体は、猫のトイレ用の砂のようなものがかけられていた。

 事件は、八王子に住む23歳女性が行方不明になったことが発端だった。10月23日から連絡が取れなくなり、女性の兄が24日に高尾署に届け出た。女性はツイッターに「死にたいけどひとりだと怖い」と自殺願望をほのめかす書き込みをしていた。女性の兄が、女性のアカウントとパスワードでインターネットに接続し、白石容疑者が浮上した。

 女性は23日午前、「死ぬ決心がついた」と白石容疑者に連絡。同日午後、JR八王子駅と現場近くの小田急線相武台前駅の防犯カメラに女性と白石容疑者が一緒に歩いている姿が写っていた。白石容疑者は女性について「会ったのは初めてだった。その日に殺害した」と話している。

 警視庁は30日午後、白石容疑者のアパートを調べ、玄関内側に置かれたクーラーボックスから2人の頭部を発見した。31日までに別の箱から、さらに7人の頭部が見つかった。

 高尾署に設置された捜査本部は今日1日、白石容疑者を東京地検立川支部に送検するとともに、行方不明者情報を収集し、ほかの8人についてDNA鑑定で身元の確認を急ぐ。