【松前、函館】「北朝鮮から来た」という10人が乗ったとみられる木造船が松前町沖で発見されて一夜明けた29日、同町の住民らは沖合にある船を不安げに見つめた。函館海保などの巡視船が船の行き手を阻むように監視を続け、海岸ではパトカーや護送車が待ち構えた。「なぜ不審な船が道南の沿岸の近くまで流れてきたのか」―。住民や関係機関からは警戒と困惑の声が漏れた。
「えたいが知れず、おっかなく感じる」。29日の昼下がり、松前町内の海岸沿いの国道駐車場で休憩していた、北斗市のトラック運転手の小田遊亀さん(56)は、不審な木造船と、巡視船2隻を心配そうに眺めた。
小島周辺の漁業者にも不安が広がった。松前・離島小島を愛する会会長で、漁業者の吉田修策さん(67)は「長年漁師をしてきて初めての話。島には漁業者向けの小屋があり、漁期には体を休めることもあるが、これからは利用するのがためらわれる」と戸惑う。松前さくら漁協の佐藤正美組合長は「普段、島は無人のため、(不審者が上陸しているかどうかなど)管理には限界がある」とこぼす。
行政機関などは終日、情報収集など対応に追われた。松前町役場は29日正午すぎ、約4千世帯の全町民向けに防災無線を通じ「不審者の(島への)上陸も確認されており、外出や就寝の際は戸締まりをしっかりしてください」と呼び掛けた。
ただ、海保、道警とも情報管理を徹底しており、町は情報不足に戸惑う。ある町職員は「報道で初めて知る情報もあった」ともどかしさを語った。若佐智弘副町長は「小島の安全を確認して、漁業者が安心して操業できる環境を確保してほしい」と要望している。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/148052/
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