財務省は28日の衆院予算委員会で、学校法人「森友学園」への国有地売却を巡り、8億円値引きの根拠とされた地下3メートル以下のごみの存在が不確かだと指摘されたにもかかわらず、同省と学園が昨春に「可能性は否定できない」「(ごみがあるという)ストーリーはイメージしている」などと協議している新たな音声データの存在を認めた。値引きを前提にした口裏合わせと受け取られかねず、安倍政権が主張する「適切な売却」に一層疑問が生じた形だ。
9月に関西テレビが報じた音声データに基づき、共産党の宮本岳志氏が質問した。音声では、工事業者とみられる人物が「(ごみが)3メートルより下から出てきたか分からない」と話したのに対し、政府職員とみられる人物が「言い方としては『混在と、9メートルの範囲で』」と提案。学園側も「言葉遊びかもしれないが、9メートルまでごみが入っている可能性は否定できないでしょ」と応じ、政府職員が「そんなところで作りたい」と結論づけている。
財務省の太田充理財局長は予算委で、音声は昨年3月下旬から4月に近畿財務局が学園と協議した内容だと認め、国土交通省大阪航空局の職員も同席していたとした。学園は同3月11日に新たな地下埋設物が出たと政府に連絡し、同24日に撤去費用を差し引いた額での購入を希望していた。ただ、太田局長は「撤去費用を見積もるために資料の提出を(学園に)お願いしたが、口裏合わせはしていない」と否定した。
一方、太田局長は財務省が行った過去4年間の公共随意契約972件のうち、売却額を非公表にしたのは森友学園の1件だけだったと明かした。会計検査院の河戸光彦院長は、地下のごみの対象面積や深度、土壌への混入率のいずれも「算定の根拠が確認できていない」と指摘した。
検査院の指摘に対し、安倍晋三首相は「(過去の答弁との)整合性は各省で検証したい」と述べた。妻昭恵氏の国会招致には慎重な姿勢を示す一方、「国会が決めれば従う」とした。野党は昭恵氏や佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)の招致に加えて集中審議の開催を求めたが、与党は拒否する構えだ。【水脇友輔】
https://mainichi.jp/articles/20171129/k00/00m/010/133000c
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