衆院予算委員会は二十七日、安倍晋三首相と全閣僚が出席して基本的質疑を行った。学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地を格安で売却した問題を巡り、財務省は、契約直前に同省近畿財務局と学園の間で価格に関して協議した際に録音されたとされる音声データを事実と認めた。学園側は購入する国有地の値引きを求め、財務局担当者は応じ、国有地の売却価格はやりとりの通りになった。ただ、政府は価格交渉ではなく、売却は適切だったと主張した。
委員会では、音声データの一部が紹介された。学園の籠池泰典(かごいけやすのり)理事長(当時)が「ゼロ円に近い形で払い下げてほしい」と求めると、財務局の担当者は「ゼロに近い金額まで努力する作業をやっている」と明言した。二〇一六年五月十八日に録音されたもので、約一カ月後に一億三千四百万円で売買契約は成立。ただ政府は売買契約の成立前に、地中に埋まるごみの一部の撤去費用として学園側に一億三千二百万円を支払っており、国が得た売却額は事実上二百万円だった。
売却額が撤去費用として支払われた一億三千二百万円を下回ると、政府は不適切な支出をしたと認めることになるため、「(ごみ撤去費を)下回る金額は提示できない」などとする担当者の発言も記録されていた。
財務省の太田充理財局長は委員会で、音声データは事実と初めて認め、「金額を含め、やりとりがあった。当方からは(価格提示の)考え方を言った」とし、価格交渉ではないと強調した。
財務省は売却価格について、不動産鑑定士が算出した評価額九億五千六百万円から、国土交通省大阪航空局が算出した、残るごみの撤去費八億円余りを差し引いた一億三千四百万円と説明していた。
立憲民主党の長妻昭代表代行は委員会で「首相はずっと見積もりは適切だと(答弁を)繰り返した」と指摘すると、首相は「財務省や国交省から適切との答弁があり、私もそう報告を受けていた」と釈明した。
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