2017年11月29日水曜日

「森友」国有地売却 政府「ごみ地下9メートルまで」

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関し、財務省の太田充理財局長は二十八日の衆院予算委員会で、地中のごみの量を巡る政府と学園側のやりとりを記録した別の音声データの存在を認めた。工事業者が森友学園の敷地を調査したところ、地下三メートルより下からごみはほぼ出なかったが、政府が地下九メートルまでごみがあると口裏合わせを求めたと受け取れる内容。政府はごみは最大九・九メートルまで埋まっているとの前提で、撤去費用として約八億二千万円を算出し、国有地評価額から値引きした。太田氏は口裏合わせを否定した。(清水俊介、我那覇圭)

 音声データは、関西テレビが九月十一日に報じ、民進党が三日後に政府に事実確認を求めたが、財務省は「(大阪地検の)捜査に影響がある」と説明を避けた。

 共産党の宮本岳志氏は予算委でやりとりの一部をパネルで示した。太田氏は近畿財務局職員に事実関係を確認した結果「二〇一六年三月下旬から四月ごろのやりとりではないかと思う」と認めた。さらに、ごみの埋蔵量を算出した国土交通省大阪航空局の職員が同席していたと明かした。

 音声データには、森友学園の敷地に埋まるごみの深さについて、工事業者とみられる人物が「三メートルより下からごみはそんなに出てきていない」と説明したのに対して、政府職員とみられる人物が「言い方としては『混在と、九メートルまでの範囲で』」と九メートルの深さまでごみがあるよう求める様子が記録されている。統括国有財産管理官(当時)は「資料を調整する中で、どういう整理をするのがいいのか、協議させていただけるなら、そういう方向でお話しさせてもらえたらありがたい」と発言していた。

 宮本氏は「地下深くまでごみがあったことにして、売却価格を引き下げるシナリオを国側の職員が切り出している。こんな口裏合わせで八億円の値引きをやって、国民の財産である国有地をただ同然で売却している。これは明確な背任ではないか」と迫った。

 太田氏はやりとりの趣旨について「三メートルを超える深い所から出てきた物について、必要な資料の提出をお願いした。口裏合わせはしていない」と否定した。

 このやりとりがあった約二カ月半後、売買契約は成立。国有地の評価額九億五千六百万円からごみの撤去費用として約八億二千万円が値引きされた。撤去費用は、深さ三・八メートルから最大九・九メートルまでごみが埋まっているとして算出された。

 財務省の佐川宣寿理財局長(当時)は四月十日の参院決算委員会で「九・九メートルのくいを打ったところから出たごみを確認した」と説明。撤去費用の見積もりについて「埋設物が出たことを確認した上での試算で、間違っていない」と強調した。

◆弁護士「出来レースの証拠」

 財務省幹部らを背任容疑などで刑事告発している阪口徳雄弁護士は、音声データについて「国有地の売却価格を下げる『出来レース』『なれ合い』を認める証拠だ」と強調。「『学園側と交渉はしていない』としてきた理財局長だった佐川氏の国会答弁は、全くの虚偽だったことになる」と指摘した。

(東京新聞)

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http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017112990070312.html

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