
安倍晋三首相(自民党総裁)は1日召集の特別国会で開かれた衆参両院の本会議で第98代首相に指名された。全閣僚を再任し、皇居での任命式などを経て同日中に第4次内閣を発足させる。衆院選での与党大勝で政権が継続することになったが、デフレ脱却に向けた経済再生に加え、北朝鮮への対応、自民党が政権公約の柱に掲げた憲法改正など課題は山積している。
首相は1日、自民党両院議員総会であいさつし、「国民の命と幸せな暮らしを守り抜くため、そして子どもたちと日本の未来を切り開いていくために全力で一丸となって取り組んでいこう」と語った。午後9時10分から記者会見する。
衆院選が行われた10月には日経平均株価が過去最長となる16連騰を記録。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは10月23日付のリポートで、「安倍政権がどのくらい経済活性化を優先しようとするかが、景気の持続的拡大とマーケットの好感継続の焦点になる」との見方を示した。
経済財政運営では、年内をめどとしている教育無償化など「人づくり革命」に向けた政策パッケージの取りまとめ、来年4月に任期満了となる日本銀行の黒田東彦総裁の後任人事などが控えている。2012年12月の政権復帰以来、大胆な金融緩和など「3本の矢」によるアベノミクスによるデフレ脱却を掲げてきたが、目標とする2%の物価上昇は達成できていない。
外交面では5日から来日するトランプ米大統領との日米首脳会談が当面の焦点。安倍首相は10月23日の記者会見で核・ミサイル開発を進めている北朝鮮について「その政策を変更させるため、国際社会との連携を一層強めていく」と述べており、米大統領とも協議する考えを明らかにしている。
改憲議論
自衛隊の明記など4項目を中心にした憲法改正を公約に掲げていた自民党が衆院選で大勝したことを受け、国会での改憲論議が活発化する可能性が出ている。同日の記者会見で安倍首相は「与党、野党で幅広い合意を形成することに努めることが必要」であり「国民的な理解を得るよう努力もしていきたい」と述べ、国会での改憲発議に向け意欲を示した。
これに対し、衆院で野党第1党となった立憲民主党の長妻昭代表代行は10月29日のブルームバーグの取材で「憲法改正が国政上の最優先課題とは思っていない」と明言。自衛隊の明記についても、「われわれは否定的」と話した。第2党の希望の党は公約で憲法9条を含めた改憲論議を進める方針を示している。
衆院は1日の本会議で、特別国会の会期を12月9日までの39日間とすることを決めた。
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