2017年10月31日火曜日

8カ国の慰安婦資料は登録判断見送り 上野三碑は登録

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)は日本時間31日未明、重要な歴史文書や映像などを認定する事業「世界の記憶(記憶遺産)」の新規登録リストを公表した。日中韓を含む8カ国・地域の民間団体などが共同申請した慰安婦に関する資料「日本軍『慰安婦』の声」は登録可否の判断が見送られた。

 共同申請側は慰安婦を旧日本軍の「性奴隷」と定義付けており、日本政府を糾弾してきた団体などで構成される。日本政府が「ユネスコの政治利用に当たる」として強く反対していた。

 日本の保守系団体が米国の団体と共同申請した「慰安婦と日本軍規律に関する記録」も見送りとなった。

 日本政府が推薦していた2件のうち群馬県高崎市に残る古代石碑群「上野三碑(こうずけさんぴ)」と、推薦枠外で日韓の民間団体などが共同申請した江戸時代の外交資料「朝鮮通信使に関する記録」は登録とされた。だが、政府が推薦した外交官、杉原千畝(ちうね)氏の資料「杉原リスト」は登録されなかった。

 政府推薦の上野三碑は山上(やまのうえ)碑、多胡(たご)碑、金井沢(かないざわ)碑の総称で、それぞれ国の特別史跡に指定。漢字や仏教が渡来人の移動によって都から東国に伝来したことを示す資料として、県や高崎市、地元の経済団体などが申請した。

 朝鮮通信使は、江戸幕府の招請で朝鮮から派遣された外交使節団。徳川将軍への「朝鮮国書」のほか供応記録や行列を描いた絵、筆談による文化交流の記録などが各地に残っている。

 ■世界の記憶(記憶遺産)

 歴史的な文書や映像フィルムなどを登録する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の事業。記録の保護・公開を目的として1992年に創設された。国際条約に基づく世界遺産や無形文化遺産の登録可否は締約国代表によって審議されるが、世界の記憶は専門家主導で運営。公文書管理の専門家らで構成される国際諮問委員会(IAC)の登録勧告を、ユネスコ事務局長が追認する。登録数は348件(2015年10月時点)。日本からはこれまでに「慶長遣欧使節関係資料」など5件が登録されている。

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http://www.sankei.com/life/news/171031/lif1710310002-n1.html

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