【バルセロナ(スペイン北東部)賀有勇】国連教育科学文化機関(ユネスコ)は30日(日本時間31日)、「世界の記憶」(世界記憶遺産)に、日韓の団体が共同申請していた江戸時代の外交資料「朝鮮通信使に関する記録」と群馬県の古代石碑群「上野(こうずけ)三碑(さんぴ)」を含む計78件を新たに登録すると発表した。日中韓などの市民団体が申請していた「従軍慰安婦」関連資料は登録が見送られた。
朝鮮通信使は、江戸時代に朝鮮国王が徳川将軍家に派遣した使節団。1607~1811年に計12回派遣され、豊臣秀吉による朝鮮出兵で悪化した両国の関係修復に貢献した。ルートは対馬(長崎県)や大阪、江戸などを経て、徳川家康が祭られる日光東照宮(栃木県)まで至る。各地に外交記録や行列の様子を記した絵などが残されている。日本のゆかりの自治体などで作る「朝鮮通信使縁地連絡協議会」と、韓国の「釜山文化財団」が共同で登録申請していた。
上野三碑は飛鳥・奈良時代(7~8世紀)に現在の高崎市に建立された古代山上碑(やまのうえひ)、多胡碑(たごひ)、金井沢碑(かないざわひ)の石碑群の総称で、現存する古代石碑では国内最古。
一方、ユネスコは慰安婦の関連資料について、登録の可否を審査する国際諮問委員会(IAC)からの勧告に基づき登録を見送った。IACからは、関係者らの対話を促すため適切な時期や場所を設定するよう進言があったという。ユネスコのボコバ事務局長は声明で、記憶遺産登録は「対話の精神や国際的な相互理解に基づき、人々の心に平和をもたらすため」に行われるべきだと訴えた。
第二次世界大戦中に「命のビザ」で多くのユダヤ人を救った岐阜県出身の外交官、杉原千畝に関する「杉原リスト」も登録されなかった。
記憶遺産には各国から約130件の登録申請があった。
https://mainichi.jp/articles/20171031/k00/00e/040/220000c
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