国連教育科学文化機関(ユネスコ)は日本時間31日未明、重要な歴史文書や映像フィルムなどを認定する事業「世界の記憶(記憶遺産)」の新規登録リストを公表した。日中韓を含む8カ国・地域の民間団体などが共同申請した慰安婦に関する資料「日本軍『慰安婦』の声」は登録可否の判断が延期された。
日中韓などの共同申請側は慰安婦を旧日本軍の「性奴隷」としており、日本政府を糾弾してきた団体などで構成。日本政府が「ユネスコの政治利用に当たる」として強く反対していた。一方、日本の保守系民間団体が「慰安婦は性奴隷ではなかった」と訴えるため米民間団体と共同申請した「慰安婦と日本軍規律に関する記録」も延期された。
10月24~27日にパリで開かれた記憶遺産国際諮問委員会(IAC)の審議を経て、ユネスコ事務局長が決定した。IACは、両申請者間の対話を促している。
記憶遺産をめぐっては、中国側が2年前の前回に申請した「南京大虐殺文書」が日本政府による反論の場がないまま登録され、日本政府が制度改善を要請。今月のユネスコ執行委員会で政治的緊張の回避を求める決議が採択されており、審査に反映された。
また、日本政府が推薦した2件のうち群馬県高崎市に残る古代石碑群「上野三碑(こうずけさんぴ)」と、推薦枠外で日韓の民間団体などが共同申請した江戸時代の外交資料「朝鮮通信使に関する記録」は登録が決まった。だが、政府が推薦した外交官、杉原千畝(ちうね)氏の資料「杉原リスト」は登録されなかった。
上野三碑は山上(やまのうえ)碑、多胡(たご)碑、金井沢(かないざわ)碑の総称。漢字や仏教が渡来人によって東国に伝来したことを示す。県や高崎市、地元の経済団体などが申請した。朝鮮通信使は朝鮮からの外交使節団で、徳川将軍への「朝鮮国書」のほか供応記録や行列の絵、筆談による交流記録が各地に残っている。
http://www.sankei.com/life/news/171031/lif1710310002-n1.html
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