25日午前8時35分ごろ、長野県原村の八ケ岳連峰・阿弥陀岳(2805メートル)山頂に近い南稜(なんりょう)付近で複数の登山者が滑落した、と別の登山者から山梨県警を通じて長野県警に通報があった。県警茅野署によると、滑落したのは関西地方から訪れた60代~30代の男女7人のグループで、標高2600メートル付近から数人ずつザイルで結ばれたまま全員が斜面を約300メートル滑落し、雪に埋まった3人が死亡、4人が重軽傷を負った。
県警によると、死亡したのは神戸市東灘区本庄町1、会社員、亀石安央さん(48)▽京都市西京区大原野西境谷町2、アルバイト従業員、山下貴久子さん(39)▽兵庫県伊丹市西野7、建築士、中沢恒雄さん(63)。いずれも窒息死だった。
救助された4人のうち、大阪府吹田市の会社員、宇野聖さん(47)が左足骨折の重傷、大阪市の自営業の男性(56)▽滋賀県草津市の会社員の男性(44)▽大阪府八尾市の会社員の女性(40)の3人が打撲などの軽傷。
登山届などによると、7人は24日に西側の登山口・舟山十字路から入山して立場(たつば)岳でテント泊し、25日に阿弥陀岳に登頂した後、御小屋尾根から下山する計画で、この日、予定通り阿弥陀岳山頂を目指していた。
死亡した亀石さんと負傷した3人が搬送された諏訪中央病院(長野県茅野市)の医師によると、軽傷だった人は「先頭にいた人が足を滑らせ、7人とも滑落した」と話しているという。亀石さんには目立った外傷はなく、雪に埋もれたことで窒息したとみられる。
阿弥陀岳は、八ケ岳連峰の中で赤岳、横岳に次いで3番目に高く、登山者に人気がある。長野地方気象台によると、滑落当時は快晴で、気温は1・3度、北東の風秒速1・4メートル。現場一帯は積雪で覆われていた。
諏訪地区山岳遭難防止対策協会の顧問、島田良さん(81)=長野県諏訪市=は「現場は滑りやすい岩場で滑落事故が多発している。道が細いため、前が滑落すれば、後続は巻き込まれてしまう。5月上旬までは積雪も多く、熟練者でなければ危険なコース」と語った。
現場付近では、2017年2月に早稲田大学の山岳サークルに所属する男子学生2人が滑落し、1人が死亡した。【安元久美子、島袋太輔、小川直樹】
山岳会に所属 登山経験豊富
7人はいずれも大阪府の山岳会に所属し、登山経験が豊富だったという。大好きな山で命を落とした3人の家族や知人らは、突然の悲報にショックを受け、言葉を失った。
死亡した山下貴久子さん(39)の京都市西京区の自宅近くに住む祖母の紀代子さん(93)は「信じられない。間違いであってほしい」と声を詰まらせた。
紀代子さんによると、山下さんは母親と2人暮らし。10年ほど前から登山に魅せられ「暇さえあれば山へ出かけるほどの山好きだった」という。アルバイト先も同市内の山用品販売店。登った山の夜明けの写真を見せてくれたり、お土産を買ってきてくれたりしたという。ギターの弾き語りライブをするなど多趣味で、紀代子さんは「意志が強い子だった」と孫の死を惜しんだ。【飼手勇介】
https://mainichi.jp/articles/20180326/ddm/041/040/196000c
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