政府・与党は、27日の証人喚問で佐川宣寿前国税庁長官が学校法人「森友学園」への国有地売却問題に関し首相官邸の指示を明確に否定したことを受けて早期の幕引きを図りたい考えだ。しかし、佐川氏が決裁文書改ざんの理由など核心部分の証言を拒否したため「疑惑は深まった」と野党は批判。与党内にも佐川氏の証言だけで、国民の疑念を晴らすことはできないとの声がある。【高橋恵子、高橋克哉】
「(首相官邸は)何もしていなかったから、なかったということだ」。菅義偉官房長官は27日の記者会見で、官邸からの指示を否定した佐川氏の証言についてそう語った。
安倍晋三首相は同日夕、官邸で記者団から「証人喚問が終わりましたが」と声をかけられたが、「どうも」とのみ返答し、コメントしなかった。
政府・与党は、国有地売却を巡る一連の問題を「官僚の責任」として切り離し、首相や麻生太郎副総理兼財務相の責任を問う声を抑えてきた。佐川氏の証人喚問に応じたのも、証言を通して官邸の関与や忖度(そんたく)がなかったことを印象付ける狙いがあったからだ。
実際に27日の証人喚問の与党質問はこうしたシナリオに沿った展開となった。自民党の丸川珠代参院議員は、首相と妻昭恵氏からの指示についてそれぞれ「ありませんでしたね」と確認するように尋ね、佐川氏は「ございませんでした」と応じた。さらに、丸川氏は、菅氏や首相秘書官、麻生氏についても「指示はありましたか」とそれぞれ尋ね、佐川氏は「ございませんでした」を繰り返した。
終了後、自民党の森山裕国対委員長は「多くの疑念が解消された」と強調。野党が求める昭恵氏らの証人喚問は「関知していないことははっきりし、必要はない」と断言した。
政府・与党は28日に2018年度予算案を成立させたうえで、働き方改革関連法案など重要法案の審議に入りたい考えだ。首相は4月中旬に訪米、5月下旬に訪露の予定。北朝鮮問題への対応など外交に焦点を当て、支持率回復を狙う考えだ。
ただ、自民党の石破茂元幹事長は「誰が、なぜ、ということが一切分からない極めて異例な証人喚問だった」と指摘。昭恵氏の関与を否定したことについても「全くそういうことはなかったと言い、でもそれを理財局職員に確認したわけでもないと言う。一体何だったのだろうという思いを強めた印象だ」と語った。
公明党の山口那津男代表は「理財局の中で(改ざんが)行われたことを(佐川氏が)はっきり認めた」と述べ、証人喚問の意義を認めたうえで、「誰がどういう理由で行ったかについて触れなかったのは極めて残念な対応だ。実態解明に向け国会として努力していかなければならない」と強調した。
https://mainichi.jp/articles/20180328/ddm/005/040/059000c
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