国立沖縄戦没者墓苑で天皇、皇后両陛下を出迎えた人々の中には、沖縄地上戦で肉親を亡くした戦没者の妻や子供の姿があった。悲しみを乗り越え、戦後七十数年を生き抜いてきた日々。両陛下として最後になるであろう祈りを見届け、感謝の言葉を口にした。
両陛下が乗られた車列が墓苑に近づくと、南部戦線で防衛隊員だった夫を亡くした沖縄県宜野座村の宮平ナヘさん(98)は、座っていたいすからすっと立ち上がった。「ここまで来てくれてありがたい」という思いがこみ上げた。
遺族ら一人一人に声をかけながら岸壁に立つ献花台に向かわれた両陛下。ご拝礼に合わせ、宮平さんも静かに頭を下げた。帰り際、皇后さまからは「大事にお過ごしください」とお気遣いがあった。
出迎えの一人に選ばれて以来、会えるのを楽しみにしていた。慰霊を続けられる両陛下の姿をずっと見てきたが、この日のお二方からも「おわびの気持ちが伝わった」(宮平さん)。
「覚えていますよ」。家族5人を失った同県遺族連合会前会長の照屋苗子さん(82)には、皇后さまの優しいお言葉があった。戦没者の妻として苦労を重ねた末に亡くなった母親の写真を持参した照屋さんは「ようやく言葉を聞かせられてほっとした」という。
「以前は両陛下に複雑な気持ちを抱いていたが、沖縄に心を寄せてくださっているのを知った。今は感謝の気持ちでいっぱい」。照屋さんはこう話した。
http://www.sankei.com/life/news/180327/lif1803270033-n1.html
0 件のコメント:
コメントを投稿