2018年3月27日火曜日

財務省職員「佐川氏の指示」 本人は否定

佐川宣寿氏=手塚耕一郎撮影

 学校法人「森友学園」(大阪市)との国有地取引を巡る決裁文書改ざん問題で、佐川宣寿(のぶひさ)前国税庁長官が今月9日辞任した時期に、改ざんへの直接的な指示を否定する発言を周囲にしていたことが複数の関係者への取材で明らかになった。一方で、検察の事情聴取に対して「佐川氏の指示」を認める財務省職員もいて、認識が分かれているという。佐川氏はこれまで公の場で自身の関与について明言しておらず、27日に衆参両院で行われる証人喚問での説明が注目される。【杉本修作、土江洋範】

 改ざんが行われたのは、昨年2月下旬~4月の間。関係者によると、当時の財務省理財局長だった佐川氏は今月9日に長官を辞任した頃、決裁文書の削除や書き換えについて周囲に「部下から報告は受けた」という趣旨の説明をしつつ、「改ざんの指示はしていない」などと語ったという。

 これに対し、公用文書毀棄(きき)容疑などでの告発を受けて捜査している大阪地検特捜部の任意の事情聴取に対し、同省職員の一部には「佐川氏の指示」を認める職員もいるという。一方で、「理財局幹部が佐川氏の意向を『忖度(そんたく)』した」という趣旨の説明をする職員もいるとされる。

 佐川氏は辞任直後の今月9日夜、改ざんへの自身の関与について報道陣から問われ「捜査を受けている立場なのでコメントは差し控えたい」と語っていた。また、太田充理財局長の国会答弁によると、佐川氏が同日に同省の福田淳一事務次官に辞任の意向を伝えた際も「具体的にどのように関与したかは、刑事訴追の可能性もある状況なので控えたい」と明言を避けたという。

 一方、同省が今月12日に決裁文書の削除や書き換えを認めて以降、麻生太郎財務相は「佐川の答弁に合わせて書き換えたのが事実」などと繰り返し説明。太田局長も16日の衆院財務金融委員会で「佐川前局長の関与の度合いが大きかったのではないか。(改ざんを)知っていたと思っている」と答弁している。

 当初の決裁文書には、国有地取引を巡って安倍晋三首相の妻昭恵氏や複数の政治家の名前も記されていたが全面的に削除されており、特捜部は一連の経緯について同省職員らから事情を聴いている。また、証人喚問以降に佐川氏本人の聴取を検討しており、佐川氏の刑事責任の有無を慎重に判断するとみられる。

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