衆参両院の予算委員会は27日、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書改ざん問題を巡り、昨年の国会で財務省理財局長として答弁した佐川宣寿前国税庁長官(60)を証人喚問した。佐川氏は改ざんを誰がいつどのように指示したか、その理由、自身の関与などの経緯について「刑事訴追の恐れがある」と証言拒否に終始。一方で安倍晋三首相や妻昭恵氏、首相官邸の指示はいずれも否定したが、根拠があいまいな証言も目立った。【野口武則、光田宗義】
佐川氏は改ざんについて「文書の担当局長だった私の責任だ」と陳謝したが、自身の関与などの核心部分は検察の捜査を理由に「答えを差し控えたい」と繰り返し、「責任」の意味は語らなかった。喚問された感想を問われると「どういう経緯で誰が指示したのか、明らかになっていない。最後は司法の判断だ」と述べるにとどめた。
一方、佐川氏は「(改ざんは)理財局内だけでやった話だ」と強調し、首相や昭恵氏らの指示を全面否定した。国有地売却や文書があくまで理財局の案件だったとして、政治家や官邸との協議や報告もなかったと述べた。
また首相が昨年2月17日に「(国有地売却に)私や妻が関与していれば首相も議員も辞める」と答弁したことを「首相の政治的な思いだと感じた」としたが、自身の答弁には影響しなかったと説明した。昭恵氏が学園の名誉校長だったことは昨年2月の報道で知ったとし、「そういうことかと思った」と語った。
ただし、政治家などの関与を否定する根拠は「指示などがあれば私に報告があるはずだが、なかった」と説明するにとどめ、「職員一人一人には確認していない」とした。部下が昭恵氏らに忖度(そんたく)した可能性も「まさに個々の内面の話で、私が何か言うことはできない」と否定しなかった。
さらに「私が書き換え前と後の文書を見たかは捜査の範囲だ」と、昨年の国会答弁の際に文書を読んでいたかについて証言を拒否。文書から首相や昭恵氏に関する記述が削除された理由も答えなかった。改ざんの経緯を語らずに政治の関与だけを否定する佐川氏に対し、野党は「捜査の最中なのに『影響はなかった』となぜ断言できるのか」(希望の党・今井雅人氏)、「論理矛盾だ」(立憲民主党・福山哲郎幹事長)と強く反発した。
佐川氏は、理財局長に就任する前の国有地貸し付けや売却についても、首相や昭恵氏らの影響を否定。学園側と公示地価などの一般論は交わしたが、不動産鑑定額は伝えていなかったと訴え、「事前の価格交渉はなかった」という昨年の自身の答弁を正当化した。
一方、「交渉記録は廃棄した」という昨年の答弁は財務省の文書取り扱いの規則を指しただけのもので、「丁寧さを欠いた」と陳謝した。当時質問した共産党の宮本岳志氏は「『確認したところ、なかった』と言っていた」と追及。財務省も26日の国会で「事実に反する」と認めているが、佐川氏は「虚偽という認識はなかった」と強弁した。
https://mainichi.jp/articles/20180328/k00/00m/010/152000c
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