年末の風物詩、「現代用語の基礎知識選 2017ユーキャン新語・流行語大賞」が1日、都内で発表された。

 ベストテンに入った「○○ファースト」について、同賞事務局は解説の中で「今年患者ファースト、顧客ファースト等々。○○ファーストばやりである。その最大はやはり都民ファーストではなかろうか」と、東京都の小池百合子知事(65)の発言が選出の対象だったと明らかにした。

 小池氏は希望の党代表として衆院選を戦う中で、同党への合流を決めた前原誠司氏が代表を務める民進党に対し、安保法制に否定的な候補者を公認しない“踏み絵”を強いたこと、その動きに反発した枝野氏が立憲民主党を立ち上げるなどした結果、衆院選で敗れた。小池氏はその後、希望の党代表を辞任し、都政に専念すると表明した。

 「新語・流行語大賞」の解説では、その姿勢を批判する論評がつづられた。

 「この言葉で都民が盛り上がって投票したのは今年7月。あれから3カ月。小池百合子東京都知事は国政にも気を移し、希望の党を発進させた。新党の勢いを借り、視界不良の野党第1党の方々が当選ファーストとばかりに次々入党。選挙の結果は途中失速で惨敗。「排除さらさら」への恨み節が渦巻いた。小池代表は党代表を辞任し都民パースト(passed)だった都政に専念するという」

 また、米国第一主義を掲げる、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」やEUからの離脱を進める英国についても触れ「都民ファーストは権力や既得権益の視点で配分するのではなく都民のニーズに合わせて予算を組んでいくという意味だろうが、国同士となれば自国の国益を優先するのは当然のことでもある」と指摘。その上で「どちらにしろ、自分の都合の良い○○ファーストが流行ってしまった」と批判的に論じた。

 選考委員の漫画家やくみつる氏は、選評の中で「今年は年間を通じて『こりゃ、弱ったなぁ』と感じていた。政界や芸能界でもろもろ奇ッ怪な言葉は出て来るのだけれど、つい12月の顕賞式のことを考えてしまう。もちろん言葉を発した当人の式出席は顕賞の条件ではないけれど、こうも“負の言葉”ばかり浮上した日には、当事者に皆、辞退されてしまうのではないか」と悩ましい思いを吐露。「小っ恥ずかしい思いをした人も暮れのこの席でパーッとチャラにして差し上げたいが、そうも言っていられないほどの重大事だったりするものなぁ」とつづった。

 やく氏の選評での指摘通り、「○○ファースト」については授賞式での受賞者はなしとなった。