2017年12月24日日曜日

北海道の巨大地震 「迷わず避難」で命を守れ

 北海道の太平洋沖で東日本大震災とほぼ同規模の超巨大地震が切迫している可能性が高い。政府の地震調査委員会が発表した千島海溝の地震に関する長期評価である。

 マグニチュード(M)8・8以上の地震が30年以内に発生する確率は7~40%と試算された。

 海溝型地震で最も恐れなければならないのは、津波によって多くの犠牲者を出してしまうことである。1万8千人を超える命が津波に奪われた東日本大震災の教訓を思い起こし、「迷わず避難」という、津波防災の大原則を徹底したい。

 北海道の太平洋岸は数百年に1度、大津波に襲われてきたことが知られ「500年間隔津波」などと呼ばれてきた。調査委は今回、津波被害をもたらす巨大地震の発生間隔を340~380年と算出した。前回の大津波からは既に約400年が経過しており「満期」を超えていることになる。

 「千年間隔で襲う巨大津波」が知られていた東北では、貞観津波(869年)の1142年後に東日本大震災が起きた。北海道の巨大地震は発生確率の数字だけを比べると南海トラフ地震(30年以内に70%程度)よりも小さいが、切迫度は十分に高い。

 現在の科学では予知できない地震とは違い、津波は必ず前兆を伴う災害である。東日本大震災の最大の悔恨は、地震から津波襲来までの数十分が命を守る避難行動につながらずに、多くの犠牲者を出したことに尽きる。

 「避難するか、この場にとどまるか」といった迷いがあると、数十分は瞬く間に過ぎる。堤防に対する過信、依存も禁物だ。

 北海道南西沖地震(平成5年)では、地震発生から数分で大津波が奥尻島を襲い、犠牲者は200人を超えた。しかし、海岸近くの住民がすぐに避難して助かった例も報告されている。

 津波襲来までの時間が長くても決して余裕はない。短くてもあきらめてはならない。「迷わず逃げる」以外に、命を守る方法はないのだ。高齢者や障害者、病人など災害弱者の命を守る対策に力を注ぐためにも、避難行動を徹底することは重要である。

 津波を警戒すべきは北海道や南海トラフの巨大地震に限らない。国土に対して海岸線が長い日本列島では、誰もが「迷わず避難」の意識共有が必要である。

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http://www.sankei.com/affairs/news/171224/afr1712240001-n1.html

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