2017年8月31日木曜日

同じ船で自殺や失踪相次ぐ 海技教育機構の練習船で

乗船実習で自殺や失踪相次ぐ 海技教育機構、7月に3件

 船員養成のための航海訓練を実施している独立行政法人・海技教育機構の練習船「青雲丸」(5890トン、全長116メートル)で7月、実習で乗船していた「海技大学校」(兵庫県芦屋市)の男子学生の自殺や自殺未遂、失踪が3件起きていたことが分かった。同機構が30日、発表した。

 青雲丸は7月1日から、商船の船員を目指す同大学校や商船系大学の学生127人らを乗せ、航海士や機関士などの資格取得に必須となる乗船実習(最大3カ月)を行っていた。

 香川県沖に停泊中だった7月13日、学生(19)が海に飛び込み自殺を図り、近くの海岸で無事見つかった。「船員としての仕事に対し不安になった」と教員に話したという。22日には、実習を続けるかどうか悩んでいた学生(20)が家族と相談するため下船し、数日後に自殺。遺書はなかった。30日には名古屋港に停泊中の自由時間に上陸した学生(21)が、保護者にメールで「失踪する。船の道に進みたくない」と伝え行方不明になった。

 機構が周囲の学生や教員から聞き取った範囲では、いじめやパワハラなどの情報はないといい、乗船実習は現在も進行中。だが機構は背景などを詳しく調べるため、第三者委員会を来月立ち上げる。機構では昨年にも、別の練習船で実習中の学生1人が自殺しており、同委から提言を受け、教育改善を図るとしている。

 国土交通省海事局は「青雲丸対策本部」を立ち上げ、詳しい調査を機構に指示した。(伊藤嘉孝)

(朝日新聞デジタル 2017年08月30日 20時58分)

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