政府が「存在しない」としていた陸上自衛隊の日報がまた見つかった。防衛省が2日、陸自内での保管を明らかにしたイラク派遣時の日報。事実上の「戦地派遣」と言われたイラクでの活動を記した日報が公表されてこなかったことに、野党は反発を強めている。
「昨年の国会での質疑に対し、可能な限り探索作業を行ったが、その時点では確認できなかった」。2日、防衛省で取材に応じた小野寺五典防衛相は釈明に追われた。一方で、「南スーダン派遣部隊の日報問題の反省も踏まえ、しっかり調査する中で見つかった」とも強調した。
ただ、学校法人「森友学園」への国有地売却に関する決裁文書の改ざんなど、公文書を巡る問題が相次ぐ中、野党からは「政府ぐるみの情報隠し」(共産党の小池晃書記局長)との批判が上がる。
防衛省によると、イラク派遣の日報は今年1月までに陸上幕僚監部衛生部と研究本部で見つかった。このうち、研究本部には昨年2月に国会で日報が取り上げられた際も調査が指示されたが、当時は「残っていない」としていた。
日報は「教訓業務各種資料」という行政文書ファイル内に含まれており、防衛省幹部は「イラクと結びつかず、担当者が気づかなかった可能性がある」と隠蔽(いんぺい)を否定する。
南スーダン派遣部隊の日報を巡っては、2016年7月の首都ジュバでの武力衝突を「戦闘」と記載していたことが発覚。停戦合意などのPKO参加5原則に抵触しかねない状況を「隠した」との疑惑が持ち上がった。イラク派遣でも、宿営地に迫撃砲が撃ち込まれるなどの緊迫した状況があったことが判明している。
防衛省は4月半ばをめどに、今回見つかった日報のうち開示できる部分については資料要求した国会議員に提出するとしている。しかし、開示の内容次第ではさらなる反発も予想される。【前谷宏】
https://mainichi.jp/articles/20180403/ddm/041/010/128000c
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