私、ヤマカガシと申します。日本に広く生息するヘビです。7月29日に兵庫県伊丹市で小学5年生の男の子が私の仲間にかみつかれて一時、意識不明になったことでニュースになりました。でも、最近何かと話題のヒアリと違って日本に昔から暮らす在来種です。なぜ、今回の事故が起きたのか、人間とヤマカガシが共に暮らすためには何に注意したらいいのか私、ヘビの立場から解説します。
私を理解するキーワードは3つです。
一つ目は「無類のカエル好き」。まるっと飲み込む姿はインターネット上で見ることができます。だから、暮らしているのは、北海道や一部の島しょ部を除く日本各地の川や田んぼなどの水辺で、昔から子どもたちや農家の人たちとは顔見知りなんです。
カエル好き、猛毒あり、臆病
私を理解するキーワードは3つです。
一つ目は「無類のカエル好き」。まるっと飲み込む姿はインターネット上で見ることができます。だから、暮らしているのは、北海道や一部の島しょ部を除く日本各地の川や田んぼなどの水辺で、昔から子どもたちや農家の人たちとは顔見知りなんです。
毒の強さはマムシの4倍くらいあるそうで、かまれた場合の主な症状は、血が止まらなくなったり頭痛がしたりするほか、重症になると脳内出血や急性腎不全になるケースもあり、昭和47年以降死亡したケースが4件報告されているということです。
3つめは「臆病」です。ここをよく覚えておいてほしいのですが、臆病なのでちょっとやそっとでかみついたりはしません。人の気配がしたらさっさと草むらに逃げてしまうんです。それでも攻撃されたり山で突然出会ったりした時に自分を守るためにかみつくのです。
だから、私のことをよく知っていただければ、むやみに怖がることはないんです。
兵庫県伊丹市のケースで、私の仲間は捕まえられた時と、かばんから取り出す時の2回にわたってかみついたそうです。
毒ヘビに詳しい日本蛇族学術研究所の堺淳主任研究員は、「ふだんヤマカガシは人間を襲うことはほとんどないがかばんに入れられ触られて、敵だと思ってしまったのではないか」と話しています。
ヤマカガシをめぐる誤解
なぜそんな誤解が広まったのでしょうか。
まず、私が大きく口をあけた写真をご覧ください。
毒を出す牙は上あごの奥にあります。浅くかまれただけでは毒が注入されにくいため、「かまれたけど大丈夫だった」という人が少なからずいたことが誤解が広まった要因の1つです。
もう1つは、私の仲間は同じ種類なのに地域によって色が違うということです。関東地方でヤマカガシというと、赤と黒の模様というのが一般的ですが、近畿地方では、緑がかった色のほか、中国地方では青みがかった仲間もいて、毒のないほかの種類のヘビと間違われることもあったようです。
昭和59年に愛知県春日井市の男子中学生が死亡したケースをきっかけに毒素を抑える「血清」も開発されるなど毒ヘビの認識や対策も少しは広まりました。学校でもっと教えてくれてもいいのですが、教科書に掲載されているのはスズメバチや毒のあるガで私のことは忘れ去られているようです。
かまれたらどうする
もし、万が一かまれたらどうすればいいのでしょうか。皆さん、傷口から毒を吸い出すという方法を聞いたことはありませんか?
東京・八王子にある東京医科大学八王子医療センターの新井隆男救命救急センター長によると、この方法は「科学的な効果が実証されていない」と話しています。また血清も、人によってはアレルギー反応の1つアナフィラキシーショックを起こすこともあるそうです。
新井医師は、「間をあけずに病院に行って専門家による適切な治療を受けてほしい」と呼びかけています。また、ペットもかまれたら、人間と同じような症状が出るため、注意が必要です。
そっと見守ってください
最後に、私からのお願いです。私たちはずっと人間の近くで暮らしてきました。ずっと身近にいたはずなのに、いつの間にか忘れられた存在になりました。そして、たまに出会ったらびっくりされ、7月29日に突然、ニュースになってしまいました。最近は小川や水田も減り、私たちも生きづらくなりました。私たちも、人間の皆さんとけんかをせずに暮らしていきたいです。だから、私たちを見かけたら、そっと見守ってくださいね。
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