【ソウル時事】北朝鮮国営メディアは29日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星14」の2回目の発射実験が28日夜、金正恩朝鮮労働党委員長立ち会いの下で行われ、「成功した」と伝えた。ICBMの試射は4日以来。今回のミサイルは低角度で撃ったと想定すると、飛行距離が1万キロに達すると推定され、米本土への攻撃の脅威が現実味を帯びてきた。ただ、ICBMの完成に不可欠とされる弾頭部の大気圏への再突入技術を完全に確保したかどうかはなお不透明だ。
朝鮮中央テレビは29日午後、火星14の発射の瞬間をとらえた映像を放映。ミサイルがオレンジ色の炎を放ちながら暗闇を突き抜けていく映像を繰り返し流した。放映は28日深夜の発射から異例の早さで、金委員長は「任意の地域と場所から任意の時間にICBMを奇襲発射できる能力が誇示された」と自賛した。
前回の発射は午前9時40分ごろだったが、今回は深夜の午後11時40分すぎ。また、発射地点も前回は北西部の亀城だったが、さらに北方の舞坪里に移し、機動性をアピールした。韓国の文在寅大統領は国家安全保障会議(NSC)を招集し、「北東アジアの安保構造が根本的に変化する可能性もある」と強い警戒感を表明し、「断固たる対応」を指示。康京和外相も外務省での緊急幹部会で、「発射時刻や場所など、最近のパターンとは異なり、技術的な分野で相当な進展を示していると憂慮される」と述べた。
北朝鮮国営メディアは「過酷な高角発射態勢(ロフテッド軌道)での大気圏再突入環境でも、弾頭部の誘導・姿勢制御が正確に行われた」と主張。「数千度の高温条件でも弾頭部の構造的安定性が維持され、核弾頭爆発制御装置が正常に作動することが実証された」と強調した。
ただ、韓国国防省当局者は「再突入技術を確保したかどうかはさらなる分析が必要だ」と指摘。聯合ニュースは「多数の専門家はまだ確保できていないとみている」と伝えている。(2017/07/29-18:27) 関連ニュース
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