2017年7月30日日曜日

北ミサイル公表 着弾約17分前 防衛省の危機管理大丈夫?

北朝鮮の労働新聞が29日掲載した「火星14」発射の写真
Photo By 共同

 北朝鮮が28日深夜に発射した大陸間弾道ミサイル(ICBM)に関して、防衛省の報道機関への第1報が約30分後となっていたことが29日、分かった。半日前に防衛相を兼務したばかりの岸田文雄外相が「一人二役」で対応に当たったことを野党が批判するなど、政府の対応に疑念の声も上がっている。

 「北朝鮮からミサイルが発射され、日本海の我が国の排他的経済水域(EEZ)内着水の可能性がある」と、防衛省が公表したのは29日午前0時11分。発射された28日午後11時42分ごろから約30分後の第1報で、海上落下前ではあったが、前回4日の発射時と比べ倍以上の時間を要した。

 朝鮮中央通信によると、ミサイルの飛行時間は過去最長の47分12秒。第1報の約17分後、北海道奥尻島の北西約150キロの日本のEEZに落下した。

 防衛省は北朝鮮の弾道ミサイル発射に際し、市民生活に混乱を招かないよう、従来よりも速やかな公表を進めている。だが、今回はICBMの軌道、高度などの把握に難航した。防衛省幹部は「詳細はこれから分析したい」と説明した。

 深夜の発射に対し、就任直後の岸田文雄外相は対応に追われた。南スーダン国連平和維持活動(PKO)日報隠蔽(いんぺい)問題で防衛相を辞任した稲田朋美氏から、28日にバトンタッチしたばかり。29日午前0時半すぎには首相官邸へ。国家安全保障会議(NSC)に出た後で防衛省へ移動、さらに外務省に立ち寄り、帰途に就いたのは午前4時前だった。

 わずかな睡眠をとり、外務省に戻って米韓両国外相と電話で会談。午後には官邸でNSCに出席し、防衛省でも対応に当たった。菅義偉官房長官は「支障は全く出ていない」と強調したが、仮に事態が長引き一触即発の状態に陥った際に問題はないのか疑問は残る。首相経験者の一人は「絶対に無理だ」と指摘。8月3日の内閣改造まで「事態は急変しないと踏んでいるのだろう」と安倍晋三首相の判断を疑問視した。野党は追及姿勢を強める構えで、共産党幹部は「防衛相不在の空白を北朝鮮に狙われたのではないか」と批判した。

 《国交相、航空機や船舶の安全確認徹底を》石井啓一国土交通相は「明白な国連安全保障理事会決議違反であり、断じて容認できない」と述べ、航空機や船舶の安全確認を徹底するよう省内に指示したことを明らかにした。視察先の秋田県大仙市で記者団の質問に答えた。「日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下したことは、航空機や船舶の安全確保(の観点)から極めて問題だ」と指摘した。国民や事業者に対し、速やかに正確な情報を提供していくと述べた。

Let's block ads! (Why?)

http://www.sponichi.co.jp/society/news/2017/07/30/kiji/20170729s00042000536000c.html

0 件のコメント:

コメントを投稿