新たに入院患者1人の死亡が確認された「Y&M藤掛第一病院」=29日午前、岐阜市で(川上智世撮影) |
岐阜市一番町の「Y&M藤掛第一病院」で八十代の入院患者四人が相次いで死亡した問題で、入院していた別の男性患者(84)が二十八日午後六時四十分ごろに死亡していたことが分かった。岐阜県警が二十九日未明、発表した。同病院の死者は五人となった。男性に目立った外傷はなく、県警は熱中症になった可能性もあるとみて、業務上過失致死の疑いを視野に捜査する。
県警によると、新たに死亡が確認された男性は二十四日に入院し、当初はエアコンが故障している三階の病室に入った。四人が死亡した後にエアコンが作動している二階の病室に移ったとみられるものの、同室で死亡したという。
二十八日午後八時四十分ごろ、この男性の成年後見人を務める男性(52)が岐阜中署を訪れ「病院から死亡したと連絡があった。不審に思ったので相談に来た」と届け出た。署が病院に問い合わせ、確認した。
この時点では既に入院患者四人の死亡が報道されており、県警が病院の家宅捜索を行っていた。だが、病院から県警への連絡はなかったという。
県警によると、病院では二十日に三階と四階のエアコンが故障。二十六日午後八時四十分ごろから二十七日午前十一時四十分ごろにかけて、両階の別々の部屋にいた八十三〜八十五歳の入院患者の男女四人が、相次いで死亡した。熱中症になった可能性がある。
県警は近く四人を司法解剖する方針で、二十八日に亡くなった男性についても死亡した経緯を調べる。
◆冷房故障部屋に今も患者 保健所が再び立ち入り
Y&M藤掛第一病院では、エアコンが故障して入院患者が死亡した三、四階の病室に、現在も複数の患者が入院していることが、岐阜市保健所への取材で分かった。新たに別の一人の死亡が確認された事態を受け、二十九日午前九時半ごろ、保健所の職員三人が再び病院に立ち入り検査に入った。
病院側は、一部の患者はエアコンが作動している病室に移動させたと説明していた。保健所によると、問題発覚後の二十八日午後に立ち入り検査をした時点では、施設全体で約五十人の入院患者がおり、エアコンが故障した三、四階にも複数がとどまっていた。多くは四人部屋で、一部屋で一台ずつ扇風機を回し、暑さをしのいでいる状況だったという。
保健所の職員は藤掛陽生(ようせい)院長から入院患者の状況を聞き取り、看護師による見回りの態勢や、ナースコールに対応できる人員がいるかなどを確認した。自発的に声を出せないほど重い介護度の患者もいたため、保健所側はこまめに見回りをするよう要請。小型のエアコンなどを応急的に手配することや、必要に応じ患者を転院させることなどを、念押しをした。指示を受け、病院側は冷風機を入れるなどしたという。
保健所の担当者は「病院側の対応は少なくともできていた」と話す。前日の立ち入り検査後も死者が出たことについては「死因が何であったか、まだ詳しい情報が分からない。遺憾に思う、という言い方しかできない」と語った。
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