2018年4月5日木曜日

イラク日報、1年隠蔽 昨年3月に存在確認

 防衛省が国会で「不存在」と説明していた陸上自衛隊のイラク派遣時の日報が見つかった問題で、小野寺五典防衛相は4日、日報が昨年3月27日に陸自研究本部(現在は教育訓練研究本部)教訓課で見つかっていたと発表した。これまでは「今年1月までに」発見されたとしていた。先月31日に小野寺氏に報告されるまで約1年間にわたって政務三役に日報の存在が隠蔽(いんぺい)されていたことになり、文民統制がとれていないとの批判が強まりそうだ。

 小野寺氏は4日、調査チームを設置して詳しい経緯を調べるよう大野敬太郎政務官に指示した。

 防衛省によると、昨年2月20日、当時の稲田朋美防衛相が国会でイラク派遣時の日報について「残っていないことを確認している」と答弁。2日後に稲田氏は再探索を指示したという。研究本部で海外派遣などの調査研究を行う教訓課も調査の対象になったが、昨年3月10日までに「残っていない」と回答した。

 しかし、同15日に「廃棄した」とされていた南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報が陸自でも保管されていたことが報道され稲田氏が特別防衛監察を指示。教訓課で前回は確認していなかった「教訓業務各種資料」という文書が入った外付けハードディスクを調べたところイラクの日報が発見された。情報は当時稲田氏ら政務三役に報告されず、陸自内でとどまっていた。教訓課長は「当時は南スーダンの日報を調べていたので、報告の必要があると認識していなかった」という趣旨の説明をしているという。課長以外に陸自内でどこまで日報の存在が認識されていたかは不明だ。

 陸自は昨年11月、南スーダンPKO日報問題を受け、再発防止策の一環として過去の海外派遣の日報を統合幕僚監部に集約するために全国の部隊に改めて日報の調査を指示。教訓課から今年1月12日に陸上幕僚監部にイラクの日報の保管が報告され、2月27日には統幕にも伝えられたが、小野寺氏への報告は3月31日になってからだった。4日に山崎幸二陸幕長から教訓課で昨年3月に発見していたと報告があったという。

 小野寺氏は報道陣に「大変申し訳ない。当時の大臣の指示に対して正確に答えていない。厳正な措置も含め、適切に対応したい」と話した。また、防衛省は発見されたイラク派遣時の日報が当初376日分と説明していたが、再集計の結果、408日分だったと訂正した。【前谷宏】

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https://mainichi.jp/articles/20180405/ddm/001/010/184000c

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