「別府より草津行こうぜ」話題の新聞広告を生んだ深い絆
12人が死傷した群馬県の草津白根山の噴火から、2月23日で1カ月が経った。
風評被害も伝えられる中、日本有数の温泉地である大分県別府市が草津温泉を応援する新聞広告を2月16日付の西日本新聞に出し、話題となっている。
この新聞広告には、「今は、別府行くより、草津行こうぜ」、「元気があってこそライバル」「GO!草津」などと草津温泉への温泉メッセージが記されている。
目的は草津温泉への恩返し
別府市からしてみれば、草津温泉は温泉地のライバル。
なぜ、応援する新聞広告の掲載に踏み切ったのか?
別府市役所観光課の担当者に話を聞いた。
―草津温泉を応援する新聞広告を出した理由は?
草津温泉への恩返しの意味合いがあります。
―草津温泉への恩返し…どういうこと?
2016年4月、熊本・大分地震が発生。
大分県別府市にも風評被害があり、5月のゴールデンウィークには宿泊客が対前年比で約33%まで落ち込みました。
正直、苦しい状況だったのですが、当時、「Go!Beppu おおいたへ行こう!」という新聞広告など、別府市は元気だということをアピールするキャンペーンを出しました。
このキャンペーンの効果もあり、2016年12月末~2017年1月にかけての年末年始の宿泊客は前年比1%増まで戻っています。
苦しいときにお客さんが来てくれたので、その恩返しがしたいとの思いで2017年度に開始したのが「別府温泉の恩返し」という事業。
これは、別府市のホームページから申し込んだ人の中から厳選し、別府の温泉水を県外の個人宅に持っていくというもの。
この事業で、群馬県前橋市と嬬恋村の個人宅への配達を終えたとき、配達用の温泉のタンクが空になっていました。
せっかくだから草津の温泉水を分けてもらって別府に持ち帰り、別府の方々にその温泉水で入浴をしてもらいたいと思い、草津温泉にお願いしたところ、2つ返事でOKしてもらいました。
草津の温泉水は門外不出であり、そもそも温泉は自然の恩恵を受けている大事なものなので、2つ返事でOKしてくれたことには感謝の気持ちがあります。
そんな中、草津白根山の噴火が起き、風評被害に関するニュースを目にしました。
草津温泉には2つ返事でOKしてもらった恩義があるので、微力ながら風評被害を払しょくするお手伝いができればと思い、草津温泉を応援する新聞広告を出したというわけです。
新聞広告はありがたい
別府市の新聞広告を草津温泉サイドはどう感じているのか?
草津町役場温泉課の担当者に話を聞いた。
―草津温泉を応援する別府市の新聞広告を見て、どう思った?
ありがたいなと思いました。
新聞広告は別府市の草津温泉への恩返し。
草津の温泉は酸性が強いため、環境への影響を考えて、町外には持ち出すことはできないのですが、石灰や苛性ソーダなどを入れて中和してから処分すると約束をしたうえで別府市にお湯を分けた経緯があります。
草津白根山が噴火した後、別府市長から草津町長へ応援文が送られていて、それに加え、別府市観光課から草津温泉を応援する新聞広告を西日本新聞に掲載させてほしいと連絡があり、これを快諾いたしました。
―草津白根山の噴火警戒レベルは今も「3」のまま下がっていない。草津の温泉街は今、安全なの?
噴火したとき、噴石も飛んできませんでしたし、草津白根山と温泉街は5キロメートル以上離れていますので、安全です。
また、噴火後、温泉の量や温度にも変化はありません。
観光客は噴火前と同じぐらいまで戻っている
草津白根山の噴火で草津温泉の観光客はどれぐらい減ったのか?
草津町役場観光課の担当者に話を聞いた。
―草津白根山の噴火で草津温泉の観光客はどれぐらい減った?
草津町の観光客数は、1月に関しては前年度に比べて5%減りました。
ホテル・旅館の宿泊予約のキャンセルは、草津温泉旅館協同組合の調査によりますと、噴火した1月23日から30日までで3万3000人でした。
―噴火から1か月が経った。温泉街にお客さんは戻りつつある?
2月の集計はまだ出ていませんので確かなことは言えませんが、温泉街を見る限り、お客さんはたくさんきていますので、噴火前と同じぐらいまで戻っていると思われます。
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