希望の党の小池百合子代表(東京都知事)は25日、国会内で開かれた両院議員懇談会に出席し、一部の出席者から代表辞任要求を突きつけられた。しかし「創業者としての責任がある」として、続投を明言。一方で国政とは距離を置き、都政に専念する意向も示した。小池氏の「排除」発言が衆院選惨敗を招いたとして突き上げる声はあったが、「小池個人商店」の弱みもあり、創業者を追い込む動きにはならなかった。不満分子はくすぶっており、先が見えないままの船出だ。
25日朝、出張先のパリから帰国したばかりの小池氏。午後、衆院選の当選者が初めて一堂に会した両院懇談会に笑顔で現れた。当選した50人のうち、欠席3人を除く47人が出席。小池氏は1人1人と握手し、労をねぎらったが、小池氏を避けて席に着く議員もおり、歓迎とはほど遠かった。
小池氏は冒頭、「私の言動で同志の方にご苦労をかけ、心ならずも多くの方を傷つけた。謝りたい」と、「排除発言」を謝罪。「政策や理念が一致しなければと強調したかったが、言葉だけが歩いてしまった。責任は心に刻んでおきたい」と、責任論にも言及した。
この後、報道陣に非公開で約3時間、行われた意見交換で、小池氏は代表辞任要求を突きつけられた。会終了後の取材に、小池氏自身が明かした。「小池は代表を辞任せよという言葉、逆に続けるべきという励ましの言葉もあった」。その上で、「出処進退は自分で決めるもの。創業者としての責任はあると思うので、続けていきたい」と、代表続投を明言した。
一方で、国政からは距離を置く。「共同代表を議員の皆さんで決めてもらう。人事も、国会議員が団結できる体制を見いだしてほしい。私は都政にまい進する。国政は国会議員の皆さんに委ねたい」。樽床伸二代表代行、大島敦・前民進党幹事長が、週内に開く両院議員総会に向け、共同代表などの人選を急ぐが、難航は必至。批判必至の人事など「汚れ仕事」は、国会議員団に丸投げされた形だ。
小池氏が同党を立ち上げたのは、ちょうど1カ月前の先月25日。大きな期待は、「排除」発言で急降下。小池氏を取り巻く環境は、悪い方に激変した。それでも辞任要求の声が広がらないのは、党が今も「小池個人商店」だからだ。小池氏が退けば、「単なる第2民進党」(所属議員)なのが現実だ。「国政に関与していく」と宣言して結党したはずの小池氏は、国政から1歩引くことで一定の責任を取ってみせたが、それで求心力が戻るはずもない。アンバランスな力関係のまま、希望の党は船出する。
「いかにして希望の党として新しく出発し、勢いを付けていくか。責任は大きい。安倍1強の中、緊張感を生む役割を担いたい」。小池氏は前向きに語ったが、信頼回復は容易ではない。【中山知子】

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