2017年10月25日水曜日

福井の中2自殺 生徒を追い詰めて教師か

 教師に追い詰められた子供はどんな思いで過ごし、死を選んだのか。考えるだけで胸が痛む。

 これが教育か。それで教師か。

 福井県池田町の町立中学で3月、当時14歳の2年男子生徒が校舎3階から飛び降り自殺した。

 有識者による調査委員会の報告書は、生徒が担任と副担任から何度も厳しい叱責を受け、孤立感を深めていった様子を伝える。

 行事の準備が遅れ、生徒は校門で担任に大声で怒鳴られた。身震いするくらいの怒り方だったという。遅れた宿題をやらなくてよいと突き放す副担任に生徒は土下座しようとし、トイレで泣いた。

 「僕だけ強く怒られる。どうしたらいいかわからない」。生徒は泣きながら家族に話している。

 自殺する前の日には、できなかった宿題を副担任にとがめられて泣き出し、過呼吸を訴えた。

 生徒の悩みは担任、副担任の叱責にあり、自殺は孤立感、絶望感を深めたことによる、と報告書は結論づけた。

 担任は、生徒に期待していたなどと調査委に答えている。考え違いもはなはだしい。激しいだけの叱責は言葉の暴力でしかない。

 校長や他の教員が叱責を知っていたことも見過ごせない。担任は職員室でも大声で叱った。

 報告書は、ほとんどの教員に叱責についての問題意識がなかったとしている。事なかれ主義ではないというなら、生徒の気持ちへの感受性をあまりに欠いている。

 「指導死」という概念が提唱されている。教師の叱責や体罰で子供が自殺することを指す。大阪市の市立高で平成24年、部活動の顧問から体罰を受けた男子生徒が自殺した際も、注目された。

 社会に定着している概念とは、まだいいがたい。指導死で調査委が設けられるのも一部という。厳しい叱責に問題意識を持たない教員がいるのも、だからだろう。

 しかしそもそも、自分の言葉に震える子供の心に気付かないようなら、教師の資格などない。

 文部科学省は、今回の件に関し都道府県教育委員会などに通知を出した。いたずらに注意や叱責を繰り返すことは子供を精神的に追い詰める、としている。現場で認識を徹底させる必要がある。

 遺族は手記を公開した。わが子の死は教員による陰険ないじめによる、とした。その通りだ。

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http://www.sankei.com/life/news/171025/lif1710250003-n1.html

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