東日本大震災の津波で犠牲になった宮城県東松島市立野蒜(のびる)小学校の女子児童(当時9)の遺族が市に損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第二小法廷(山本庸幸裁判長)は市の上告を退ける決定をした。30日付。地震発生後、同級生の保護者に児童を引き渡した学校側の過失を認め、市に約2660万円の賠償を命じた一、二審判決が確定した。
震災の津波を巡る訴訟で、自治体を訴えた遺族側の勝訴が最高裁で確定するのは初めてとみられる。
一、二審判決によると、児童は地震発生後、指定避難場所だった学校の体育館に避難したが、同級生の父が児童宅まで送ると申し出たため、担任教諭が校長の指示に基づいて引き渡した。児童は、海から約1・3キロ離れていた学校から、海から約700メートルの自宅に戻り、津波に巻き込まれて死亡した。一審・仙台地裁は、児童が帰宅するには津波の浸水想定域を通らなければならなかったと指摘。校長が津波の危険性を予見できたのに安全確認を怠ったとして、過失を認定。二審・仙台高裁も「学校で保護を続ける義務に違反した」などとして、一審判決を支持した。上告審で市側は「津波が児童宅まで到達するとは予測できなかった」などとして過失はないと主張したが、第二小法廷はこの点について判断を示さずに上告を棄却した。
第二小法廷は、同じ体育館に避…
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