岡山県津山市で2004年9月、小学3年の筒塩侑子(つつしおゆきこ)さん(当時9歳)が殺害された事件で、県警は30日、別の殺人未遂事件で服役中の勝田州彦(くにひこ)容疑者(39)を殺人の疑いで逮捕した。県警は侑子さんとの接点や詳しい動機などを調べる方針。
逮捕容疑は04年9月3日午後3時15分から35分ごろにかけて、津山市総社の侑子さんの自宅に侵入。侑子さんの首を絞め、刃物で胸や腹を複数回刺して、窒息と失血により殺害したとしている。勝田容疑者は「首は絞めたが、刃物で刺してはいない」などと話し、殺意を否認しているという。
県警によると、侑子さんは、一緒に下校した友人と別れて午後3時過ぎに帰宅した直後に1人でいたところを襲われたとみられる。帰宅した姉が同35分ごろ、1階の8畳の洋室で制服姿の侑子さんが倒れているのを見つけた。当時、玄関は無施錠で室内を物色した跡はなかった。鋭利な刃物によるとみられる数カ所の刺し傷があり、司法解剖の結果、失血死か窒息死の可能性があると判明。侑子さんに着衣の乱れはなかった。
現場は中国自動車道津山インターチェンジの西約5キロの住宅街の一角。県警は津山署に捜査本部を設置し、延べ6万3000人の捜査員を投入して不審者情報などを調べてきたが、犯人に結びつく目撃情報など有力な手がかりがなく、捜査は難航していた。
一方、県警によると、児童や生徒が襲われる似た手口の事件を調べていく過程で勝田容疑者が捜査線上に浮上。昨年9月ごろから事情聴取を始め、事件への関与をほのめかしたことなどから逮捕に踏み切った。県警は2人に面識はなかったとみている。
勝田容疑者は兵庫県姫路市の路上で15年5月、帰宅途中の女子中学生をナイフで刺して重傷を負わせた殺人未遂容疑で逮捕され、大阪高裁で懲役10年の判決を受け確定し、岡山刑務所に服役していた。また、同県内で09年7~10月、小学1年から高校3年の女子児童や生徒計5人の腹部をすれ違いざまに殴ったなどとして、10年にも懲役4年の判決を受けている。【益川量平、戸田紗友莉】
逮捕の男、目立たぬ印象
逮捕された勝田州彦容疑者について、兵庫県加古川市の実家周辺の住民らは「幼い頃は優しい印象」「普通の子」と口をそろえる一方、過去に事件を起こしており「不安だった」と漏らす人もいた。
住民らによると、勝田容疑者は同市で育ち、服役前は両親と同居していた。父親は元警察官という。
娘が勝田容疑者の同級生という男性は「小学生の頃はよく遊びに来た。『くーちゃん』と呼ばれ、特におとなしくも活発でもない普通の子」と振り返る。一方、近くの女性は「高校を中退し、その後に自衛隊に入ったが、自衛隊も半年くらいでやめたと聞いた」と話した。
勝田容疑者は2009年に少女5人への連続襲撃事件を起こして懲役4年の判決を受け、15年には中3女子生徒への殺人未遂事件を起こし服役中だった。勝田容疑者を知る女性は「近所の人と『不安やね』と互いに言っていた」と明かした。
勝田容疑者は14年7~12月、兵庫県明石市のガス機器製造会社の工場で派遣社員として働いていた。担当者によると、製品の出荷管理をするグループ約10人の一員で、無断欠勤やトラブルもなく、まじめな働きぶりだったという。担当者は「人柄など印象に残ることもなかったようだ」と語った。【土田暁彦、待鳥航志】
http://mainichi.jp/articles/20180530/ddg/001/040/002000c
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