沖縄県知事選が30日投開票される。米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設の是非が最大の争点だ。移設計画が浮上してから6回目の知事選。辺野古移設を進める安倍政権との対立が続く中、県政の対応の方向性を決める選挙となる。
「辺野古反対」を主張した翁長雄志(たけし)知事の急逝に伴う選挙。立候補しているのはいずれも無所属新顔で、前宜野湾市長の佐喜真淳(あつし)氏(54)=自民、公明、維新、希望推薦=、前衆院議員の玉城デニー氏(58)、琉球料理研究家の渡口初美氏(83)、元IT会社員の兼島俊氏(40)。
安倍政権が全面支援する佐喜真氏と、共産や社民といった政党や労働組合、企業などで構成する「オール沖縄」勢力が、翁長氏の後継として擁立した玉城氏による事実上の一騎打ちが展開されてきた。
台風24号の沖縄への最接近が29日と予想される中、両陣営は28日を事実上の選挙戦最終日と位置付け、那覇市内を駆け回った。
佐喜真氏は「県民の暮らしが最優先。米軍基地の整理縮小、日米地位協定の改定を実現できるよう知事へと押し上げて」と訴えた。
選挙戦では「対立から対話へ」を掲げ、政府との協調路線への転換を主張。「普天間飛行場の返還実現」を強調する一方、辺野古移設への賛否には言及しない戦術を徹底した。政権とのパイプを生かした地域振興なども訴え、「全国最下位の県民所得を300万円に向上させる」と公約した。
玉城氏は商業施設の前などで「チムグクル(思いやりの心)を大切に、誰一人取り残さない社会にしよう。沖縄にこれ以上基地はいらない」と呼びかけた。
翁長氏の「遺志を引き継ぐ」として、「辺野古反対」を鮮明に打ち出し、結束して政府に対抗しようと「イデオロギーよりアイデンティティー」との翁長氏のスローガンを繰り返してきた。政府に頼りすぎない行財政をめざすことや、教育や福祉の充実も主張した。
県選挙管理委員会によると、20日現在の選挙人名簿登録者数は115万8602人。台風の影響で、一部の離島では投票が27、28日に繰り上げられた。29日は各地の期日前投票所も閉鎖される可能性がある。(山下龍一)
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