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派閥の領袖でもなく、大臣経験もない若手政治家の動向が、ここまで注目されたことがあっただろうか。
今回の自民党総裁選では、小泉進次郎筆頭副幹事長(37)がどちらの候補に投票するのかが、マスメディアで大きく注目されていた。劣勢と報じられていた石破茂元幹事長(61)の陣営としては、圧倒的な知名度を誇る進次郎氏の支持を反転攻勢の起爆剤としたかったはずだ。
安倍晋三首相(64)の陣営としてみれば、石破陣営に進次郎氏が加わることを不安に感じていたことだろう。国民的な人気を誇る進次郎氏がどちらかの候補を支持した場合、地方票には大きな影響を与えた可能性があった。両陣営が、その動向をうかがうという意味で、進次郎氏はもはや大物政治家だといってよい。
結果として、進次郎氏は投票の直前になって石破氏を支持することを表明した。石破氏を支持することで安倍首相と一体化することは避け、かつ、総裁選に及ぼす影響を最小限にすることで安倍首相の怒りを買わないという賢い選択であったように思われる。この時点での支持表明によって、石破氏が優勢になったわけではなく、安倍陣営を心底から恐怖させるような事態にはならなかった。
だが、この一見賢い選択は、裏目に出た可能性も否定できない。
石破陣営からすれば、「時期があまりに遅すぎる」という不満が残るであろうし、安倍陣営から見れば、「結局は敵陣営に回ってしまった」と失望感が残る。両陣営に不満を残す選択となってしまったのではないだろうか。
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