松本サリン事件の被害者にもかかわらず捜査対象となった河野義行さん(68)は26日、愛知県豊橋市で記者会見し「事件の真相は(死刑執行されたオウム真理教の元幹部ら)本人に聞かないと分からない。真実が分からなくなってしまった」と話した。
一連の事件について「宗教は人を幸せにしなければならないが、死刑囚自身やその家族、大勢の市民を不幸にした」と指摘。一方で「人の命はかけがえのないもの。執行は悲しいできごとだ」と複雑な思いを語った。
河野さんは過去に、東京拘置所で新実智光元幹部(執行時54)ら元死刑囚4人と面会している。「話してみると、真面目で清らかな印象だった。執行直前にどのような心境だったかは気になる」とした。
松本智津夫元代表(執行時63)ら7人への刑の執行から20日後に残る6人への刑が執行された。「法務省には再審請求中の元幹部もいた中で執行した理由を含め、説明してほしい」
1994年6月に発生した松本サリン事件で、長野県警は第1通報者の河野さん宅を家宅捜索。河野さんを犯人視する報道も相次いだ。事件に巻き込まれた河野さんの妻、澄子さんはサリンの後遺症で意識が戻らないまま、2008年8月に60歳で亡くなった。
河野さんは「(捜査には)いまさら引けないと、無理のある取り調べもあった」と振り返り、「誰にでも過ちはある。教訓として残してもらえばいい」と淡々と述べた。
河野さんは豊橋市出身で、病気の兄の看病のため現在は同市に住んでいる。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33468880W8A720C1000000/
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