「早く逃げろ!」。東京都多摩市で26日午後に起きたビル建設現場の火災。一帯は瞬く間に黒煙に包まれ、約320人の作業員は無我夢中で避難を始めた。猛烈な煙に巻かれ、クレーンや鉄骨の上に取り残された人もおり、現場は騒然とした。
ビル2階で窓枠防水の作業に当たっていた後藤健太さん(20)は、同僚からの携帯電話で火事を知った。「周辺で『火事だ』という声が上がった次の瞬間、黒煙に包まれ息ができない状態になった」。臭いがひどく、喉にも痛みを感じ「死ぬかもしれない」と思った。避難しようとしたが、階段には煙が立ちこめ、外壁の足場を伝ってなんとか降りたという。
地下3階で配線作業をしていた秋月大さん(26)は「逃げろ」と言われるまで異変に気が付かなかった。みるみるうちに煙が立ち込め、「このままでは逃げ遅れる」と感じた。手で口を押さえ、わずかに見えた階段に向かった。「とにかく煙くて苦しかった。気付くのが遅れていたら危なかった」と振り返った。
近所に住む主婦(60)は、仕事帰りに火災に遭遇。建物外に避難して息苦しそうにする作業員にタオルや氷を手渡すなどした。「暑い中、毎日作業している姿を見ていたので、こんなことになり気の毒だ」と語った。
現場は多摩ニュータウンの一角で、住宅地や大型量販店などが立ち並ぶ。火災を受け消防車や救急車など約80台が出動し、隣接する幹線道路は一時封鎖された。(2018/07/27-00:17)
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