米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、翁長雄志同県知事は27日、県庁で記者会見し、前知事による埋め立て承認を撤回する手続きに入ると表明した。政府が8月17日に予定している埋め立て海域への土砂投入を阻止するのが狙い。県は防衛省沖縄防衛局に対し、行政手続法に基づく聴聞を行うと来週通知する。政府は法的措置で対抗する方針だ。
翁長氏は会見で、撤回手続きに入る理由について、(1)防衛局が全体の実施設計や環境保全対策を示さずに着工した(2)埋め立て海域で軟弱地盤が見つかり護岸崩壊の危険性がある-ことなどを挙げた。その上で「埋め立て承認の効力を存続させることは公益に適合しない」と指摘した。
沖縄県は2015年10月、前知事の埋め立て承認に「瑕疵(かし)があった」として取り消したが、最高裁はこの判断を「違法」と結論付けた。撤回は承認後に生じた事情により効力を失わせるものだ。
翁長氏は膵臓(すいぞう)がんを公表し治療中。11月18日投開票の知事選への対応については「一日一日公務を遂行するために頑張っていきたい」と述べるにとどめた。
埋め立て承認が撤回されれば、政府は工事の法的根拠を失い、中断を余儀なくされる。このため撤回の効力を失わせる執行停止の申し立てや取り消しを求める訴訟を起こして対抗する方針で、知事権限の乱用だとして翁長氏への損害賠償請求も視野に入れている。
菅義偉官房長官は27日の記者会見で、「沖縄県から何らかの通知が来れば、法令の規定に従い適切に対応する。辺野古移設に向けた工事を進めていくという考え方に何ら変わりはない」と述べた。(2018/07/27-18:59)
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