長男を檻に監禁した父親に判決
更新:2018/06/27 19:23
重い障害がある42歳の長男を長期間木製の檻に監禁した父親に対し、神戸地裁は懲役1年6か月執行猶予3年の判決を言い渡しました。生まれてから一度も会話ができず、夜中まで暴れる長男とどう向き合えばよかったのか。裁判では父親の複雑な心境が語られました。
兵庫県三田市の山崎喜胤被告(73)。今年1月に病死した妻と共謀し、重度の精神障がいがある42歳の長男を自宅のプレハブ小屋に設置した木製の檻に監禁した罪に問われています。檻は幅約1.8メートル、奥行約90センチの畳1畳分ほどの大きさ。南京錠がかけられ、中にはペット用のシートが敷かれていたといいます。裁判では、山崎被告が長男の監禁に至った経緯が語られました。
「長男は言葉をしゃべれないのでコミュニケーションを取れたことは生まれてから一度もない。妻の腕を引っかいたり、噛んだり。夜にも大声を出して壁を叩くので、檻に入れたら少しは収まると思った」(山崎被告)
「かわいそうだとは思わなかったのか?」(裁判官)
「もちろんかわいそうだと思ったが、ガラスを割って物も壊すし、閉じ込めないと大変なことになると思った」(山崎被告)
検察側は「監禁は少なくとも26年前から行われていた」と指摘。行政に相談し施設に入れるなどの対応は取れなかったのか、裁判ではある「食い違い」も浮上しました。
「25年ほど前に市の職員に相談し檻に入れた長男を見せたが何も指摘されなかった」(山崎被告)
自宅を訪問した職員に檻に入れた長男を見せたという山崎被告。これに対し三田市は「当時訪問した職員から聞き取りをしたが、檻などを見た記憶はなかった」と説明しています。
「(当時の記録に)檻とか柵とか、そういう記述はなかった」(三田市の会見・今年4月)
どうすれば事件を防ぐことができたのか。裁判で問われた山崎被告は…
「答えはいまだにわかりません」(山崎被告)
27日の判決で神戸地裁は「立ち上がることもできない狭い檻での監禁は自由を奪うだけでなく、尊厳を著しくないがしろにするものであって到底容認できない」としました。一方で「支援を必要とする人々の受け皿として地域社会が主体的な役割を果たすべきだが、社会全体がその自覚に乏しかったことも事態を招いた要因の一つ」として、山崎被告に懲役1年6か月執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
三田市は第三者委員会を設置して、一連の対応に問題がなかったか検証を行っています。
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