性犯罪行為を盗撮したビデオテープを裁判所が没収できるかどうかが争われた性的暴行事件の刑事裁判の上告審で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は26日付の決定で「隠し撮りを被害者に知らせて処罰を求めることを断念させ、刑事責任を免れようとしたと認められ、ビデオは犯罪のために使われたと言える」として没収可能との判断を示した。裁判官5人全員一致の意見。
盗撮は公共の場であれば迷惑防止条例、相手が18歳未満であれば児童ポルノ禁止法の違反となる可能性があるが、今回の事件はマッサージ店内で成人が撮影されており、罪とならなかった。刑法は殺人事件の凶器など犯罪行為に使われた物を裁判所が没収できると定めるが、起訴されていない盗撮のビデオを没収できるか否かが注目された。最高裁の判断は裁判実務に影響を与えそうだ。
事件では、女性客5人への強姦(ごうかん)や強制わいせつ罪などで宮崎市の元マッサージ店経営、土屋和朗被告(48)が起訴され、小法廷は同日付の決定で被告側の上告を棄却した。懲役11年とビデオ没収を言い渡した1、2審判決が確定する。
1審の公判では、土屋被告の弁護人が告訴を取り下げれば盗撮ビデオを処分すると被害者側に持ちかけていたことが明らかになった。無罪を主張する弁護側はビデオについて「客とのトラブルに備えて撮影したもの」と説明し、犯罪とは無関係で没収できないとの見解を示していた。【伊藤直孝】
https://mainichi.jp/articles/20180629/k00/00m/040/136000c
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