沖縄県訪問のため22日に来日した台湾の李登輝元総統(95)は23日、糸満市のホテルで講演し、「日中間における尖閣諸島や南シナ海の問題など、絶えず周辺国家との緊張状態を作り出し、潜在的な軍事衝突の可能性を生み出している」として中国の強硬な海洋進出を批判した。李氏がここまで踏み込んで中国の覇権的な動きを日本での講演で指摘したのは異例だ。
李氏はまた、民主主義と自由を共有する日本と台湾が、「中国の覇権的な膨張を押さえ込みつつ、平和的な発展を促すため協力関係をより一層強化すべきだ」と強調。「朝鮮半島の情勢とアジアの平和は日本の関与なくして実現することはかなり難しい」と述べ、日本に対し強いリーダーシップを発揮するよう求めた。
糸満市で24日に行われる第二次大戦で犠牲になった台湾出身の戦没者慰霊祭に出席する李氏は、講演の途中で涙声になりながら「われわれの生きる平和で安定した環境は決して当然のごとく与えられたものではない」とも述べた。中国当局は李氏の慰霊祭出席に対し、「植民地統治への美化だ」などと反発している。
慰霊祭では李氏が揮毫した「為国作見證(公のために尽くす)」と記された石碑が除幕される。
23日に行われた沖縄全戦没者追悼式に出席した安倍晋三首相と旧知の李氏が接触するのではないかとの観測もあったが、李氏の側近は同日、「接触は一切なかった」と否定。糸満市で両氏は“ニアミス”しただけとなった。(河崎真澄)
https://www.sankei.com/world/news/180623/wor1806230031-n1.html
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